...彼はためらわずに桟橋を渡って...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...ほとんど一秒もためらわずに...
芥川龍之介 「妖婆」
...死んでしまったほうが安楽であるという確信を得たならば、ためらわずに、死ね! なんのとがもないのに、わがいのちを断って見せるよりほかには意志表示の仕方を知らぬ怜悧(れいり)なるがゆえに、慈愛ふかきがゆえに、一掬(いっきく)の清水ほど弱い、これら一むれの青年を、ふびんに思うよ...
太宰治 「狂言の神」
...これらの人びとの視線にさらされることをちっともためらわずに...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「火夫」
...その男は少しもためらわずにまたいった...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...ためらわずにしっかりと足を踏み出した...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「落穴と振子」
...そのうえもう一刻もためらわずに樽とともに海のなかへ跳びこみました...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「メールストロムの旋渦」
...全くためらわずにさらいかねません...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部」
...ためらわずにかれは...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...そしてためらわずに...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...おれはあまり長くはためらわずに...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「道化者」
...彼の心はためらわずにはいないのだ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...どぶ板を、無遠慮に踏んで、路地奥にはいって、磨きの格子戸――まだ雨戸がはいっていない、小家の前に立つと、ためらわずに、「御免ねえ! ちと、急用だが――」どこまでも、無垢(むく)のものらしく住みなしている一家――ばあやが平気で出て来て、「どなたさんか? おかみさんは、ちっと用があって出て、戻りませんが――」「それじゃあ、上げて貰って待って見よう――ちっと、大事な話なんで――」ばあやは、透かして見て、遊び人が、何か筋をいいに来でもしたかと思ったか、「でも、今夜は、遅いから、あしたのことに――もう、お前さん、夜更けですよ」一九闇太郎と、婆やとの押問答が、二階に聴えたと見えて、晩酌に一本つけて貰って、女あるじ――女親分の留守の間を、楽々とごろ寝を貪(むさぼ)っていた例のむく犬の吉むくりと起き立って、鉄火な口調がまじっているので、さては、探偵手先(いっけんもの)か? それとも、弱身を知っての押しがりか? と、耳をそば立てたが、そのまま、とんとんと、荒っぽく、段ばしごを駆け下りて、「誰だ、誰だ? 何だ? 何だ? こう、小母さん、退(ど)きねえ――」と、婆やを、かきのけるように格子先を、白い目で睨(にら)んで、「おい、おまはん一てえ、どこのどなただ? よる夜中、ひとの格子をガタピシやって、どぎついことを並べるなあ、あんまりゾッとした話じゃあねえぜ!」と、まず、虚勢を張って見る...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...シリンクス? 私は一寸ためらわずにハッキリと「お前を愛して居る」と云えるのだよ...
宮本百合子 「葦笛(一幕)」
...少しもためらわずに撃ち放した...
森鴎外 「佐橋甚五郎」
...苛酷(かこく)なことをもためらわずにする...
森鴎外 「山椒大夫」
...少しもためらわずに剣をその身につきたてた...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...ためらわずにいられなかった...
吉川英治 「源頼朝」
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