...ただでさえ浮かない彼女の心は...
芥川龍之介 「奇怪な再会」
...ただでさえ小さな先生の体が...
芥川龍之介 「毛利先生」
...ただでさえ苦しくてならぬ気持に鋭い羞恥の情までが加わった今となっては...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...……(退場)ラネーフスカヤ あの子をからかわないでね、ペーチャ、ただでさえ、苦労の多い子なんですから...
アントン・チェーホフ 神西清訳 「桜の園」
...ただでさえ複雑であったのに...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...ただでさえ過剰を来している結婚観念を意地悪くいやが上にも緊張させる役目にあるのである...
戸坂潤 「社会時評」
...ただでさえ物見高い嫁入騒ぎ...
中里介山 「大菩薩峠」
...これはまた、是非もないといえば是非もないことで、つんぼであった金椎(キンツイ)の耳には、ただでさえ、僅かの案内では耳にうつろうはずもないのを、この時は、前にいう通り、仮睡から熟睡へ落ちた酣(たけな)わの時分でしたから、最初のおとないも、あとの闖入も、いっこう注意を呼び起そうはずはなく、一歩一歩に居直る闖入者の大胆なる態度を、如何(いかん)ともすることができません...
中里介山 「大菩薩峠」
...曝し物は、官がわざわざ曝して、衆人の見るものに供するのだから、ただでさえ、物見高い江戸の、しかも、日本橋の辻に官設してあるのだから、見まいとしても、それを見ないで通ることを許されないようになっている...
中里介山 「大菩薩峠」
...ただでさえ毛嫌いをはじめたお銀様が...
中里介山 「大菩薩峠」
...私にはただでさえ誇りになるべき叔父でした...
夏目漱石 「こころ」
...私はただでさえKと宅のものが段々親しくなって行くのを見ているのが...
夏目漱石 「こころ」
...田口がただでさえ会(あ)い悪(にく)いと云ったのは...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...しかし腹の中ではただでさえこう混雑(ごたごた)しているところへ...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...ただでさえ判明(わか)らないところへ持って来て...
夏目漱石 「道草」
...吾輩はただでさえこのくらいな器量だから...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...ただでさえインスピレーションが湧きにくい天気だというのに...
A. ブラックウッド A. Blackwood The Creative CAT 訳 「盗聴者」
...ただでさえいつも神々しいような御所でしたが...
堀辰雄 「姨捨」
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