...ただでさえ浮かない彼女の心は...
芥川龍之介 「奇怪な再会」
...ただでさえ脾弱(ひよわ)いのが益々病身になってしまいましたが...
芥川龍之介 「妖婆」
...ただでさえ戦後は税金が上がりますのに...
相馬愛蔵、相馬黒光 「一商人として」
...ただでさえ光度の足りない電燈が濛々とした煙草の煙に一層薄暗くなって...
豊島与志雄 「田舎者」
...ただでさえ物見高い嫁入騒ぎ...
中里介山 「大菩薩峠」
...ただでさえ霧中に捲かれている彼等をひきつつんでしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...勧めるのに事を欠いて、がんりきの百蔵というやくざ者にこんなことを勧めるのは、油紙へ火をつけるようなもので、ただでさえも、そういうことをやりたくて、やりたくて、むずむずしている男に向って、こういって筋を引いたから堪ったものではない...
中里介山 「大菩薩峠」
...ただでさえ、あんまりものやさしくは出来ていない風采骨柄のところへ、月代(さかやき)も久しく当らず、この数日、湯につからないのを、鹿島の浦の海風で曝(さら)しにかけたのだから、初対面の人の警戒性を、かなりに刺戟することは無理もあるまい...
中里介山 「大菩薩峠」
...ただでさえ毛嫌いをはじめたお銀様が...
中里介山 「大菩薩峠」
...ただでさえ長く思われる上へ持ってきて...
夏目漱石 「坑夫」
...私にはただでさえ誇りになるべき叔父でした...
夏目漱石 「こころ」
...ただでさえ寝苦しいほど暑い訳であるが...
夏目漱石 「琴のそら音」
...あの男はただでさえ随分会(あ)い悪(にく)い方(ほう)なんだから...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...ただでさえ判明(わか)らないところへ持って来て...
夏目漱石 「道草」
...今度はただでさえ暗い灯火(あかり)をなおの事暗くした...
夏目漱石 「道草」
...廻(まわ)り合(あわ)せだから」産という肉体の苦痛を眼前に控えている細君の気息遣(いきづかい)はただでさえ重々(おもおも)しかった...
夏目漱石 「道草」
...ただでさえ足りないところへ持って来て...
夏目漱石 「明暗」
...ただでさえ、新政府の財政面は火の車なのである...
吉川英治 「私本太平記」
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