...そこに点々と大きな白百合が咲いていた...
石川欣一 「可愛い山」
...「そこに穿(は)いていらっしゃるじゃないの...
泉鏡花 「薄紅梅」
...栄介があの時あそこに行ったのは...
梅崎春生 「狂い凧」
...似たようなので、いっそう不思議に思われたのは、今度は別段部屋が薄暗いわけでもなく、彼の顔も見えていて、そこへ変てこな、ゴチャゴチャとした鏡を立て並べた器械を置きますと、彼の眼なら眼だけが、これもまた盥ほどの大きさで、ポッカリと、私の目の前の空間に浮き出す仕掛けなのです...
江戸川乱歩 「鏡地獄」
...そこに写実の蘊奥がある(或る画家の所感を読みて)...
種田山頭火 「其中日記」
...そこでは、批評界が無名の秀才を圧迫することもなく、知名の士におもねることもなかった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...そしてそこに坐ったまま...
豊島与志雄 「三つの悲憤」
...そこに埋もれている何物かを探すようにも見えました...
中里介山 「大菩薩峠」
...そこで品吉は?」「あれは江戸一番の良い男さ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ただそこに黙ってつっ立っているだけでもよかった...
本庄陸男 「石狩川」
...ゆえにこの花は露を帯びていてもまた帯びていなくても一向そこに見さかいのない花である...
牧野富太郎 「植物記」
...そこここの板塀が倒れたまま...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...「あそこにゃあ、朝行って見ると、いろいろな物が落ちておるげな」跡は笑声になった...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...そこで己は外(ほか)の方角から...
ハンス・ランド Hans Land 森鴎外訳 「冬の王」
...花世は彼をそこへ導いてゆき...
山本周五郎 「山彦乙女」
...そこへは時々、百舌(もず)、山雀(やまがら)、文鳥、ひわ、目白、さまざまな小鳥がブチまけたように下りて来て、日ねもす歌っている...
吉川英治 「江戸三国志」
...日吉が、そこへ行って、遅くなった詫びを云いかけると、「何していた?」「昼間から、斎藤家の御家中の邸に、捕まっていましたので」「えッ...
吉川英治 「新書太閤記」
...そこには、典医、小姓頭、奥取次(おくとりつぎ)、そのほかの者が宿直(とのい)していて、何か、ふた言三言、聞いていたと思うと、『げっ、ほ、ほんとかっ』絶叫に近い驚き方で、一人の者が云った...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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