...そこにわれ等の図り知られぬ苦心が存する...
W・S・モーゼス William Stainton Moses 浅野和三郎訳 「霊訓」
...そこの本立てに立ててあった原価計算簿を取出し...
江戸川乱歩 「算盤が恋を語る話」
...そこにこの事件の盲点があるのではないかと考えたのです...
江戸川乱歩 「妻に失恋した男」
...そこになんともいえない敬虔(けいけん)な気分に打たれるのです...
高神覚昇 「般若心経講義」
...縁台にかけし君見て端居(はしい)かな水打てば夏蝶そこに生れけり七月十四日 夏草会...
高浜虚子 「六百句」
...そこに残るものが社会という単なる概念――無内容なる一般者――だけであるのは尤もである...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...そこに重厚な好所(こうしょ)があるとすれば...
夏目漱石 「子規の画」
...そうして其所(そこ)に一種の苦痛を認めた...
夏目漱石 「それから」
...其処(そこ)にいた筈の森川森之助は...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...五彩の飛爆がそこに懸るかとも思われる...
久生十蘭 「魔都」
...そこは何とも言っていない...
牧逸馬 「沈黙の水平線」
...ちよつとそこまで出て見ませう...
槇本楠郎 「母の日」
...そこで――と彼は云う――この国に石があったなら...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...そこで御居間から控えの間(ま)へ...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...そこでレイリカと...
三浦環 「お蝶夫人」
...おツと大将、そこぢやて、江戸ツ子はンの間違ひ、いつも其処ぢや、いかにも上方もンは銭勘定が高い、高いがな、そりや日用の生活費か、但し商売上の算盤づくで、てンから帳面に上せて遊びと来たら、はゝゝゝ失礼ぢやが、迚(とて)も東京の人の真似の出来るこツちやない、全体この東京で気が大きいとか、金放れがどうとかいふのは、まづ五円ぐらゐから十円位までの事、お気の毒やが少し手荒いところで、精々二三十円から、六十円、もう百円となれば江戸ツ子はン、ちと困るなア、はゝゝゝよし一夜に二百円ぐらゐ使ふ人もあるやろ、あるやろがな、しかし後が続きまへンぜ、この腰の弱い鼻頭の強い空威張の東京人間が、どう考へても、その全盛を其まゝいつまで根気よく続く筈がおまへン、放蕩は自慢にならンが、月千円づつ費うて丸三年も続けば、この東京で随分、えらいもンになれまンな、はゝゝゝゝちよろ臭い、三円の料理を喫(た)べて六七十銭の釣銭は入らないよ、なンかンて、あほらしい、そンな小さい一時の眼の前ばかりへ勇み肌で、仕込の薄い花火ぢやないが、しゆツと出て、しゆツと消えるやうなもンぢや、年が年中、同じ茶屋で十五年の間、遊び続けたの、いや三十年も来るといふのは大阪で、あンまり珍しうおまへンぜ、とかく上方はな、この東京と正反対で、一度に十円位までの奴は吝嗇(しみた)れて汚ない、しかし一夜に二三十円以上の阿呆になると、これこそ小気味よう図抜けてゐまツせ、雪駄の裏金に小判を付けたり、三日目毎に襦袢から帯から羽織着物は勿論、身辺一切を呉服屋から仕立てさして一年半も続けたといふ奴、八畳敷に三盆白の砂糖を三尺嵩に積ンで月に三度づつ五十人の芸妓を丸裸のまゝ相撲を取らすといふたはけは、現に私の友達にあるこツちや、また放蕩の方は偖置いて、堅い方は事実、この東京で銀行は知らン事、二三万円の現金を十三四の丁稚小僧に持たして其まゝ使に遣る商人が数多おますか、五円紙幣一枚は袂へ紙屑のやうに捻ぢ込んでも、万円以上を豆腐か煎餅を買ひに遣るやうに心易う一人で出せますまい、そこは東京ぢや、江戸ツ子はン胆玉は知れてある、はゝゝゝどうでおます大将、ちと言ひ過ぎましたかな、...
村上浪六 「上方者の啖呵」
...一挺(ちょう)の駕がそこに横着けになっている...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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