...か…………名せりふ…………何云つてやがる…………月を見るのだ...
芥川多加志 「四人」
...無暗に友染縮緬(いうぜんちりめん)のやうな台辞(せりふ)が多くつて...
芥川龍之介 「あの頃の自分の事」
...乃木大将は新しいばけものが現われるたびにカラカラとうち笑つて「それしきのことに驚く無人(なきと)(大将の幼名)ではないぞ」という同じせりふを何べんとなくくり返した...
伊丹万作 「私の活動写真傍観史」
...安薬(やすぐすり)の効能(こうのう)のような台辞(せりふ)をあまりクドクドと述べたてている厚顔(こうがん)さに...
海野十三 「赤外線男」
...せりふの書きぬきを読んでいるのです...
江戸川乱歩 「怪奇四十面相」
...長せりふがなくなって...
大杉栄 「新秩序の創造」
...喧嘩のまえには何かしら気のきいた台詞(せりふ)を言わないといけないことになっているが...
太宰治 「ロマネスク」
...せりふにくぎりをつけたが...
中里介山 「大菩薩峠」
...手当り次第に台本を持ってきて大きな声で白(せりふ)をいったり朗読したりし...
長谷川時雨 「松井須磨子」
...お月様に光った縁側に出て男の芝居のせりふを聞いていると...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...ローゼンクランツがまいりました」とせりふもどきにやりますと...
久生十蘭 「ハムレット」
...身辺に気をつけろ」その捨て台詞(せりふ)には強烈な脅しがあったので...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「くちなしの花」
...台詞(せりふ)の言いおさめになるのだろうから――」お初の毒舌は...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...ヒマラヤ杉のかげにある日だまりのベンチのところで演劇部のものがクリスマスにやる英語芝居の科白(せりふ)を諳誦していた...
「海流」
...あんな科白(せりふ)で書いたのだけれど...
山崎富栄 「雨の玉川心中」
...おれの女房として立派に値打のあることがわかるんだがな」「それも幾たびか聞いたせりふだ」と書類を繰りながら千之助が云った...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...「おまえが初めて堀留のうちへ来たのは、九つか十のときだったろう、姉はおまえを妹のように可愛がっていた、同じ町内なのによく泊らせて、着物を着せ替えたり、髪を結い直したり、お化粧をしてやったり、まるで人形かなんぞのように可愛がっていた」「いまでもよく覚えている」と彼は酒を一と口啜(すす)って続けた、「おまえはちんまりと坐って、髪をおたばこぼんに結ってもらい、口紅をつけてもらいながら、いっぱしな顔つきでつんとすましていた、姉はおまえを独り占めにして、私をそばへ寄せつけなかった、私はそばへ寄れなかったが、おまえが本当の妹だったらなあ、とよく思ったものだ、ずっとあとで、嫁に欲しいと思いだしたが、初めのうちは妹だったらどんなによかろうと思ったものだ」「そうかしら」とおようは酌をしながら彼を見た、「あたしぼんやりだからよく覚えていないけれど、あなたはいつもあたしのことを、怒ったような顔で見ていらしったようよ」「ああ」と彼は溜息をつき、おように酌をしてやった、「飲んでくれ、今夜はおまえも酔ってくれ、古いせりふだが、酔ったらおれが介抱してやる、うん、私のこの手でな、ずいぶん遠廻りをしたが、とうとうここまで漕(こ)ぎつけた、自分のこの手で、おまえを介抱してやれるようになったんだ、――十六年、まる十五年以上だ」おようは立ってゆき、燗徳利を持って戻って来た...
山本周五郎 「ひとでなし」
...科白(せりふ)万端透き写しで喜ばせたもの...
山本笑月 「明治世相百話」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??