...しかし今僕等の歩いているのは有田ドラックや愛聖館の並んだせせこましいなりににぎやかな往来である...
芥川龍之介 「本所両国」
...そちらから御覧(ごらん)になったら私達(わたくしたち)の住(す)む世界(せかい)は甚(はなは)だたよりのないように見(み)えるかも知(し)れませぬが、こちらから現世(げんせ)を振(ふ)りかえると、それは暗(くら)い、せせこましい、空虚(うつろ)な世界(せかい)――何(ど)う思(おも)い直(なお)して見(み)ても、今更(いまさら)それを物語(ものがた)ろうという気分(きぶん)にはなり兼(か)ねます...
浅野和三郎 「霊界通信 小桜姫物語」
...せせこましい長屋町に入りこんだ...
海野十三 「爆薬の花籠」
...せせこましい練習をしていた...
田中英光 「オリンポスの果実」
...せせこましい川べりの斜面(しゃめん)に段を築き...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...せせこましい枝ぶりをした鉢(はち)の梅よりも...
寺田寅彦 「柿の種」
...せせこましい路次のあいだに...
徳田秋声 「黴」
...このせせこましいうちに...
中里介山 「大菩薩峠」
...津田の知っている清子はけっしてせせこましい女でなかった...
夏目漱石 「明暗」
...せせこましい氣さへするものだ...
長谷川時雨 「東京に生れて」
...彼は、国者(くにもの)という、――何という哀れな、せせこましい、けちくさいことだろう、――理由で、船長のところへ、日ごろの寵(ちょう)を恃(たの)んで出かけて行った...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...せせこましい谷底の故郷から...
火野葦平 「花と龍」
...せせこましい地上の出来事など...
火野葦平 「花と龍」
...せせこましい故郷の町を見捨てた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...せせこましい官吏どもに正六位の勲百等のと虚号をやったって何の役に立たず...
南方熊楠 「十二支考」
...絶えずせせこましい気持になって居るお君には...
宮本百合子 「栄蔵の死」
...われわれの庭はせせこましい...
柳田国男 「雪国の春」
...せせこましい湯の町は別府湾の海岸線を探さなければ見つからないほど...
吉川英治 「随筆 新平家」
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