...時しも、鬱金(うこん)木綿が薄よごれて、しなびた包、おちへ来て一霜(ひとしも)くらった、大角豆(ささげ)のようなのを嬉しそうに開けて、一粒々々、根附だ、玉だ、緒〆(おじめ)だと、むかしから伝われば、道楽でためた秘蔵の小まものを並べて楽しむ処へ――それ、しも手から、しゃっぽで、袴(はかま)で、代書代言伊作氏が縁台の端へ顕(あら)われるのを見ると、そりゃ、そりゃ矢藤さんがおいでになったと、慌(あわただ)しく鬱金木綿を臍(へそ)でかくす……他なし、書画骨董の大方を、野分のごとく、この長男に吹さらわれて、わずかに痩莢(やせざや)の豆ばかりここに残った所以(ゆえん)である...
泉鏡花 「開扉一妖帖」
...脅迫は必ずしも手紙ばかりではなかった...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...別状ございませんでした」夫人は少しも手抜りのなかったことを示そうとした...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...すこしも手ごたえがありません...
江戸川乱歩 「怪奇四十面相」
...すこしも手からはなしません...
江戸川乱歩 「探偵少年」
...もしも手術者が少し臆病だったら...
ジェイムズ・サンヅ・エリオット James Sands Elliott 水上茂樹訳 「ギリシャおよびローマ医学の概観」
...*堀保子宛・明治四十一年三月二十二日少しも手紙が来ないから...
大杉栄 「獄中消息」
...わたしも手伝って! とか何とか...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...しかし少しも手答がない...
小泉八雲 田部隆次訳 「茶碗の中」
...それ程可愛い息子のことなら諦めがつき相なものですが息子は可愛いし先は憎いしで理窟をいはれゝばごろつと寢てしまあんですからわしも手古摺つたんですよ...
長塚節 「芋掘り」
...そんな大それたことの出来る女じゃねえ――って言いますぜ」「誰しも手前(てめえ)の恋女房を悪党とは思いたくなかろう...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...その辺にはまだ多勢いるんだ」「あっしも手伝いますよ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...あっしも手伝いましたよ」「お前たちが駆けつけた時は...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...産(う)みたての玉子を中の黄味が動かないようにそうっと横に持って来てその中へ置いて少しも手を付けずにおくと一年過ぎても腐らんといいます」妻君「早速そうしてみましょう...
村井弦斎 「食道楽」
...五百はすこしも手を弛(ゆる)めなかった...
森鴎外 「渋江抽斎」
...些(すこ)しも手前勝手とは考えておらぬのみか...
柳田国男 「木綿以前の事」
...複雜な氣まはしも手傳つて...
吉川英治 「折々の記」
...教門のほうへは少しも手を廻していない様子ではないか...
吉川英治 「親鸞」
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