...待ち設(もう)けたよりももっと早く――園は少し恥らいながら三和土の片隅に脱ぎ捨ててある紅緒(べにお)の草履(ぞうり)から素早く眼を転ぜねばならなかった――しめやかながらいそいそ近づく足どりが入口の障子を隔てた畳の上に聞こえて...
有島武郎 「星座」
...渡瀬はその茶の間にしめやかな落着きを感ずるよりも...
有島武郎 「星座」
...何時になくしめやかな話をした...
石川啄木 「我等の一團と彼」
...しめやかな雨、しめやかな心...
種田山頭火 「行乞記」
...しめやかな雨となつた...
種田山頭火 「其中日記」
...しめやかな雨...
種田山頭火 「其中日記」
...夏も末方のちと曇ってしめやかな晩方の事...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...慌しいようでしめやかな夕暮のなかを...
豊島与志雄 「反抗」
...しめやかな沈黙が続いた...
豊島与志雄 「二つの途」
...それがかえって、しめやかな夜を、一層静かなものにし、時々海の彼方(かなた)でほえるような声が遠音に聞える...
中里介山 「大菩薩峠」
...ここの本陣で雨の日夜をしめやかな宿りについた二人はいかに...
中里介山 「大菩薩峠」
...しめやかな音を立てる...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...しめやかな秋の光線が覗くやうに差してゐる...
「修道院の秋」
...例(れい)になき子細(しさい)らしきお客(きやく)を呼入(よびい)れて二階(かい)の六疊(ぢよう)に三味線(さみせん)なしのしめやかなる物語(ものがたり)...
樋口一葉 「にごりえ」
...あの女と二人ぎりでしめやかな物語がして見たい...
堀辰雄 「姨捨」
...しめやかな薫香(くんこう)の匂(にお)いに深く包まれておいでになることも...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...荘厳に圧せられた人の心に優しいしめやかな手を触れる...
和辻哲郎 「偶像崇拝の心理」
...確かにしめやかな情緒をさそい出さずにはいない秘めやかな力がある...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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