...しばらくはただあたりの机を睨(ね)めつけたように物色していたが...
芥川龍之介 「路上」
...葉子はしばらくは針の運びも忘れてしまって...
有島武郎 「或る女」
...しばらく伊香保にいつてゐることになつたときに...
小穴隆一 「二つの繪」
...しばらく休んでゆくとしよう」といつて...
薄田泣菫 「中宮寺の春」
...」しばらくして呟いた...
リチャード・オースティン・フリーマン Richard Austin Freeman 妹尾韶夫訳 「オスカー・ブロズキー事件」
...しばらく經つと、やはり眞面目な顏をして部屋へやつて來て、「あの、少し値が張りますけれど、よろしうございますか...
太宰治 「貪婪禍」
...午後は青年団員の競技をしばらく見物したが...
種田山頭火 「其中日記」
...しばらくゆくと、また、うつくしくきかざった人たちが出入りしてる、りっぱなホテルがありました...
豊島与志雄 「銀の笛と金の毛皮」
...それとも一遍のお世辞ではないか――さて黙して読むことまた少時(しばらく)...
中里介山 「大菩薩峠」
...小六(ころく)もしばらく嫂(あによめ)の樣子(やうす)を見守(みまも)つてゐたが...
夏目漱石 「門」
...「政府はしばらくこの愚民を御するに一時の術策を用い...
福沢諭吉 「学問のすすめ」
...そんなことをする余裕はないぞ」しばらく間をおいて...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「バブル崩壊」
...しばらくシーンとしていてから...
三好十郎 「冒した者」
...研究会であの人が珍らしく物を言いはじめそれが先生の意見と対立して激しい論争になったことがあります「僕は兄さんを尊敬しています僕は兄さんから育てられた人間ですしかし兄さんは口舌の徒です僕は理論を真実と思ったら実行する人間です兄さんの理論は正しいと思いますだから僕はそれを実行します兄さんはなぜ実行しないのですか?兄さんの理論と兄さんの人間が別々になっているからではありませんか?そして、僕の理論は文字づらからいえば兄さんから授かったもので、兄さんの理論と同じものですけどしかし、僕の一身を賭しての実践の基準になるものですですから、ホントはそれは全く別なものです」そのほかいろいろ言って、山田先生も怒り出して激しい議論がつづきましたその終りごろ、奥さんから命じられていた用を思い出して、私がチョット中坐して大急ぎで用をすまして、又先生の書斉に戻りかけると、議論は終ったと見えて徹男さんが自分の室に戻りかけたのに私あんまり急いでいたために廊下の曲り角で、はち合せに身体ごとぶつかった徹男さんの肩口にこちらの額がドシンと当ったが先程の議論の続きが頭の中で煮え返っているためにもっとセツない、激しい、深い、気持から、失礼とも言えず、徹男さんの顔をジッと見上げたあの人も、昂奮のために、ふだんから青白い顔を真青にして燃えるような眼で私を睨みつけたまま立っているそのうちに、不意にチラリとあの人の眼にそれまで、あの人の眼にも、ほかの人の眼にもついぞ私の見たことのない不思議なおそろしいような、それでいて、やさしい、やさしい色が差して涙がうっすりとにじんで来て「美沙子さん、僕は――」と低い声で言いかけしかし、それだけを言っただけであと、しばらく、その眼で私を見ていてから、私のわきをすり抜けて、向うへ行ってしまった...
三好十郎 「殺意(ストリップショウ)」
...用があるからしばらく待て」と立塞がった...
吉川英治 「剣難女難」
...――殿がゆるして下さるも下さらぬもない」「それもそうか」「木下」「む」「しばらく...
吉川英治 「新書太閤記」
...しばらく坐ってみたが...
吉川英治 「宮本武蔵」
...彼は、しばらく、そのむつかしい顔を見つめる...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「にんじん」
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