...今ごろになってようやく床を離れたらしい男女の客がしどけないふうをして廊下のここかしこで葉子とすれ違った...
有島武郎 「或る女」
...力ある弧状を描いて走るその電光のここかしこに本流から分岐して大樹の枝のように目的点に星馳(せいち)する支流を見ることがあるだろう...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...ここかしこに散在していた...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...ここかしこ日は照ってはいましょう...
太宰治 「虚構の春」
...などと言いつつ桜の花びらの吹溜りのここかしこに手をつっこみ...
太宰治 「花吹雪」
...猫の脚あとが此処彼処(ここかしこ)に点々とする...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のおんな」
...「われは此処彼処(ここかしこ)にさまよう落葉(おちば)」といったのはやはり詩人の Jeux d'esprit(心の遊戯)であったのだ...
永井荷風 「夏の町」
...ここかしこから手の届く幾茎(いくくき)の草花を折って来た...
夏目漱石 「思い出す事など」
...ここかしこに歯朶(しだ)の茂りが平かな面を破って幽情を添えるばかりだ...
夏目漱石 「幻影の盾」
...ここかしこさだめなく...
西尾正 「放浪作家の冒険」
...此処彼処(ここかしこ)に往々急峻なる地隙...
新渡戸稲造 「武士道の山」
...鼠が「苦痛に堪へ兼ねここかしこ...
牧野信一 「僕の運動」
...ただここかしこに意味ありげな赤い火の光が見えるばかりだ...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...そしてここかしこ...
吉川英治 「三国志」
...ここかしこである...
吉川英治 「私本太平記」
...そのあたりには、ここかしこ、丸太組みの塔が林立していた...
吉川英治 「私本太平記」
...若葉の夕闇に、ここかしこ、陣屋の炊煙(すいえん)が上がっていた...
吉川英治 「新書太閤記」
...早くもここかしこにまたたいている...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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