...けれども女王は未だほほゑんでゐる...
アナトール・フランス Anatole France 芥川龍之介訳 「バルタザアル」
...少し尊大ぶる悪癖があるけれども...
太宰治 「愛と美について」
...あの言葉、この言葉、三十にちかき雑記帳それぞれにくしゃくしゃ満載、みんな君への楽しきお土産(みやげ)、けれども非運、関税のべら棒に高くて、あたら無数の宝物、お役所の、青ペンキで塗りつぶされたるトタン屋根の倉庫へ、どさんとほうり込まれて、ぴしゃんと錠(じょう)をおろされて、それっきり、以来、十箇月、桜の花吹雪より藪蚊(やぶか)を経て、しおから蜻蛉(とんぼ)、紅葉も散り、ひとびと黒いマント着て巷(ちまた)をうろつく師走にいたり、やっと金策成って、それも、三十にちかき荷物のうち、もっとも安直の、ものの数ならぬ小さい小さいバスケット一箇だけ、きらきら光る真鍮(しんちゅう)の、南京錠ぴちっとあけて、さて皆様の目のまえに飛び出したものは、おや、おや、これは慮外、百千の思念の小蟹、あるじあわてふためき、あれを追い、これを追い、一行書いては破り、一語書きかけては破り、しだいに悲しく、たそがれの部屋の隅にてペン握りしめたまんま、めそめそ泣いていたという...
太宰治 「二十世紀旗手」
...われ言葉に拙(つたな)けれども知識には然らず...
太宰治 「パウロの混乱」
...けれども、男は、熱狂した...
太宰治 「火の鳥」
...けれども祖父は、へんに真面目な顔になってしまって、「いや、これは、やっぱり、みよ(母の名)にあげよう...
太宰治 「ろまん燈籠」
...殿がおわるいのですもの……』『それはさうだらうけれども...
田山花袋 「道綱の母」
...呉葉はそれを受取るには受取つたけれども...
田山花袋 「道綱の母」
...けれども、よく世にあるとおり、やさしい呼び方だけは消えずに残っていた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...マリユスにはその暴行がいかなる形式のものであるかまだ明らかにはわからなかったけれども...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...けれども、彼らは、ペンキのにおいの代わりに薬のにおいをかいだ...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...けれどものぼって行くたってそれはそれはそおっとのぼって行くんだよ...
宮沢賢治 「風野又三郎」
...けれども知らんから困る...
村井弦斎 「食道楽」
...我々はいつも現在の状態をいとうけれども...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...「こんなことを云うのも、つまり私が能のない年寄りで、半分死んだも同然だからでしょうがね」「年寄りったって、まだ働きざかりじゃあないのかい」「としは四十一さ」と与平は力のない笑いかたをして云った、「けれどもね、いつか話したあの晩、女房を殺そうとしたあのひと晩で、私は二十も三十もとしをとっちまったような気がするんですよ、ええ、気がするだけじゃあなく、躯まですっかり年寄りになっちまってるんです、おまえさんには信じられないかもしれないがね」そして与平は自分の寝床のほうへ去っていった...
山本周五郎 「さぶ」
...けれどもそれは和地家にはかかわりのないことだ...
山本周五郎 「日本婦道記」
...肴も三品より多くは出来ないけれども...
山本周五郎 「へちまの木」
...けれどももしや船と船との間に...
夢野久作 「白髪小僧」
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