...――若しあなたがいつも所帶じみた風ばかりしてくすんでゐるとすればです...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...急に陽の光がかすれて四辺(あたり)がくすんできた...
田中貢太郎 「雷峯塔物語」
...星清くすんで南に低く飛ぶもの二つ...
田山花袋 「田舎教師」
...白い塗料がくすんでる高い天井...
豊島与志雄 「道標」
...醜く濁ってくすんでることもあるが...
豊島与志雄 「程よい人」
...色はくすんでいる...
豊島与志雄 「慾」
...駒井のために謝罪してことなくすんで後...
中里介山 「大菩薩峠」
...くすんで見(み)えることの多(おほ)い江戸川(えどがは)の水(みづ)を往復(わうふく)する通運丸(つううんまる)の牛(うし)が吼(ほ)えるやうな汽笛(きてき)も身(み)に沁(し)みて...
長塚節 「土」
...早くすんでよいようだが...
羽仁もと子 「女中訓」
...くすみにくすんでいる...
久生十蘭 「一の倉沢」
...感じることがなくすんでいたろうと思います」阿曽とハナの愛情をめぐって...
久生十蘭 「白雪姫」
...いつしか時の流れの墨の色がしみこんで大分くすんでしまつた...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...可哀想にくすんで居られます...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...比較的順よくすんでいること...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...どこを見ても瓦が漢墨のやうにくすんでぎしぎしと押し合うて見えるからである...
室生犀星 「京洛日記」
...そのかわりには祭が滞りなくすんでしまった後の歓喜というものは...
柳田国男 「年中行事覚書」
...じみでくすんでいるほど逆に魅力をつよめるものだ...
山本周五郎 「契りきぬ」
...もう西へまわって朱盆(しゅぼん)のように赤くくすんでいた...
吉川英治 「神州天馬侠」
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