...可成(なるべく)くすんだ顔を人に見せまいと思つて...
石川啄木 「菊池君」
...われわれ蠅族だけで喰いつくすんだ...
海野十三 「ふしぎ国探検」
...微かに煙るアーク燈の光りのあちらに五重の塔がくすんだ影を陰欝に浮き立たせてゐた...
武田麟太郎 「一の酉」
...くすんだ緑色の島々...
田中英光 「オリンポスの果実」
...厨子(ずし)に入れられた古い仏像の円光のようにくすんだ底光りを放つものがある...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...しわだらけのビロードの襟が付いたくすんだ褐色のオーバーが...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「赤毛連盟」
...そしてその実体――艶のないくすんだ薄い毛並...
豊島与志雄 「オランウータン」
...奥の室には小さいくすんだ古箪笥と其他のもの...
豊島与志雄 「過渡人」
...くすんだ万筋の前を合して...
夏目漱石 「虞美人草」
...紐はくすんだ萠黄色(もえぎいろ)で幅五分くらゐ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...周囲一里ほどの深くすんだ湖水が...
久生十蘭 「肌色の月」
...どす黒いくすんだ顔に...
火野葦平 「花と龍」
...部屋は全面くすんだオーク材...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「死の川」
...天井の低い大部屋、くすんだ外壁、照明は暗く、真鍮燭台(しんちゅうしょくだい)にろうそくが二本とわびしい...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部秘話」
...赭いろのくすんだ色をして...
水野葉舟 「北国の人」
...恐ろしくすんだ声はびっくりするほど遠くひびいた...
宮本百合子 「お女郎蜘蛛」
...曇り硝子(ガラス)のようなくすんだ光をもって見えたのである...
室生犀星 「幻影の都市」
...杉本家の被害はかろくすんだらしいが...
吉川英治 「随筆 私本太平記」
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