...着物は思いきって地味(じみ)なくすんだのを選んだけれども...
有島武郎 「或る女」
...床をこすったりするお婆さん達のくすんだ姿を思い浮かべ...
石川欣一 「山を思う」
...くすんだ顏を上げて周圍を見る...
石川啄木 「菊池君」
...――草葡萄(くさぶどう)のくすんだ藍地(あいじ)に太い黒の格子(こうし)が入ったそれは非常に地味な着物であったが...
海野十三 「白蛇の死」
...われわれ蠅族だけで喰いつくすんだ...
海野十三 「ふしぎ国探検」
...そして幾分くすんだやうな色を考へるけれども...
海野十三(佐野昌一) 「南太平洋科學風土記」
...ぼくらのピクニックのほうが早くすんだらどうしよう」「そしたら水月の下の浜で...
壺井栄 「二十四の瞳」
......
長塚節 「土」
...それを晩秋(ばんしう)の空(そら)が悉皆(みんな)持(も)ち去(さ)るので滅切(めつきり)と冴(さ)える反對(はんたい)に草木(くさき)は凡(すべ)てが乾燥(かんさう)したりくすんだりして畢(しま)ふのに相違(さうゐ)ないのである...
長塚節 「土」
...くすんだ万筋の前を合して...
夏目漱石 「虞美人草」
...そのくすんだ渋さを聴くがよい...
野村胡堂 「楽聖物語」
...いつもくすんだ身なりをしている隣組の女たちの...
原民喜 「秋日記」
...くすんだようにだまりこんでいたが...
久生十蘭 「あなたも私も」
...その背景にはくすんだ青色の丘が並んでいる...
アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Hemingway 石波杏訳 Kyo Ishinami 「老人と海」
...変にくすんだ色だこと」「これでも瀬戸物でしょうか」「石じゃあないの」「火事場の灰の中から拾って来たような物なのね」「墓の中から掘り出したようだわ」「墓の中は好かったね」七つの喉(のど)から銀の鈴を振るような笑声が出た...
森鴎外 「杯」
...お部屋の調度にしろみんなじみなものくすんだ物ばかりで...
山本周五郎 「日本婦道記」
...狛笛(こまぶえ)の音(ね)が高くすんだ...
吉川英治 「神州天馬侠」
...杉本家の被害はかろくすんだらしいが...
吉川英治 「随筆 私本太平記」
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