...可成(なるべく)くすんだ顔を人に見せまいと思つて...
石川啄木 「菊池君」
...かぼちゃにもじゃもじゃ毛をはやしたような目の美しくすんだ男――犬山画伯だった...
海野十三 「一坪館」
...周囲のくすんだ渋い...
高村光太郎 「木彫ウソを作った時」
...くすんだ色で塗った安物の花瓶が...
モーリス・ルヴェル Maurice Level 田中早苗訳 「碧眼」
...ことごとく言うに言われぬ美しくくすんだいい色彩を示しています...
寺田寅彦 「先生への通信」
...みるみるうちに中身はくすんだマホガニー色を呈し...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...くすんだ万筋の前を合して...
夏目漱石 「虞美人草」
...その代りにくすんだ更紗形(さらさがた)を置いた布(きれ)がいっぱいに被(かぶ)さっていた...
夏目漱石 「ケーベル先生」
...くすんだ茄子紺の縫紋の羽織を着てゐた...
林芙美子 「夜福」
...思いのほか軽くすんだが...
久生十蘭 「あなたも私も」
...その背景にはくすんだ青色の丘が並んでいる...
アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Hemingway 石波杏訳 Kyo Ishinami 「老人と海」
...壁のくすんだ掛毛氈(かけもうせん)...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「アッシャー家の崩壊」
...いくぶんくすんだやうな情熱と強い意志をさへ感じさせる...
堀辰雄 「おもかげ」
...いろいろに工夫して少しくすんだ赤とか...
正岡子規 「病牀六尺」
...くすんだのもみんな...
室生犀星 「生涯の垣根」
...緑(みどり)の褪(さ)めた、砂と塵挨(ごみ)だらけの、水気(みづけ)のない、いぢけた、倭(ひく)い椰子の木立、木伊乃(みいら)にした、動(うご)かない天狗猿、死(し)んだ、みすぼらしい、ちつぽけな鰐、くすんだ、黄土(わうど)とCHOCOLAT(シヨコラア)の色をした廉物(やすもの)の、摸造の爪哇(ジヤワ)更紗、まだ一度も生血(いきち)を嘗めず、魂(たましひ)の入らぬ、ひよろ長い毒矢(どくや)の数々(かず/″\)……え? これが大正博覧会の南洋館?最初の二つの室(しつ)を観て歩いて、おれは思はずおれの子供等に言つた、「こんなぢやない! こんなぢやない! 南洋は!」そして、おれは新嘉坡を想ひ出した...
與謝野寛 「南洋館」
...狛笛(こまぶえ)の音(ね)が高くすんだ...
吉川英治 「神州天馬侠」
...杉本家の被害はかろくすんだらしいが...
吉川英治 「随筆 私本太平記」
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