...朱の色のくすんだ古風な仁王門...
心猿 「露伴忌」
...眼の下の孤山(こざん)は燻銀(いぶしぎん)のくすんだ線を見せていた...
田中貢太郎 「蛇性の婬」
...ことごとく言うに言われぬ美しくくすんだいい色彩を示しています...
寺田寅彦 「先生への通信」
...遠くの方にテューダー朝様式の煙突の数々そびえ立つくすんだ古屋敷がちらちら見えたが...
三上於菟吉訳 大久保ゆう改訳 「自転車乗りの影」
...更(さら)にくすんだ赭(あか)い欅(けやき)の梢(こずゑ)にも微妙(びめう)な色彩(しきさい)を發揮(はつき)せしめて...
長塚節 「土」
...行つて見るとまだ叔母は朝御飯が漸くすんだばかりで...
中原中也 「引越し」
...くすんだ縞(しま)ものを着て...
夏目漱石 「野分」
...くすんだ色の浜縮緬(はまちりめん)の座敷着に翁格子(おきなごうし)の帯をしめ...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...着物のくすんだ地色がしっとりと沈み...
久生十蘭 「野萩」
...これでどうやら事なくすんだが...
久生十蘭 「平賀源内捕物帳」
...くすんだ青銅で三人の美の女神を象(かた)どり...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...家(うち)も見窄(みすぼ)らしかったが、主人も襟垢(えりあか)の附た、近く寄ったら悪臭(わるぐさ)い匂(におい)が紛(ぷん)としそうな、銘仙(めいせん)か何かの衣服(きもの)で、銀縁眼鏡(ぎんぶちめがね)で、汚い髯(ひげ)の処斑(ところまだら)に生えた、土気色をした、一寸(ちょっと)見れば病人のような、陰気な、くすんだ人で、ねちねちとした弁で、面(かお)を看合(みあわ)せると急いで俯向(うつむ)いて了う癖がある...
二葉亭四迷 「平凡」
...天井の低い大部屋、くすんだ外壁、照明は暗く、真鍮燭台(しんちゅうしょくだい)にろうそくが二本とわびしい...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部秘話」
...」「早くすんだねえ...
ルイザ・メイ・オルコット L. M. Alcott 水谷まさる訳 「若草物語」
...それで漸くすんだと思ふと...
水野仙子 「道」
...お部屋の調度にしろみんなじみなものくすんだ物ばかりで...
山本周五郎 「日本婦道記」
...案外に産室へ入ってからは軽くすんだ...
吉川英治 「日本名婦伝」
...くすんだ朱の火星が...
蘭郁二郎 「鉄路」
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