...かねてから、私は木彫りというのはちょっと不自由な所があることを考えていた...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...かねてから兄さんは...
谷崎潤一郎 「細雪」
...かねてから考えていた歴史小説の計画に熱度を加えずにはいなかった...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...しかし自分もすでに一家を成してしかるべき年輩だし、また小さい一軒の竈(かまど)ぐらいは、現在の収入でどうかこうか維持して行かれる地位なのだから、かねてから、そういう考えはちらちらと無頓着(むとんじゃく)な自分の頭をさえ横切ったのである...
夏目漱石 「行人」
...かねてから自分は個々の短篇を重ねた末に...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...空しい好意! かねてから願つてゐたのに...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...哲也は又かねてから音絵をねらっていた...
夢野久作 「黒白ストーリー」
...かねてから打合わせて在ったと見えて一小隊...
夢野久作 「戦場」
...――私は呉様のお家に祟(たた)る絵巻物があるという事をかねてから噂には聞いておりました...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...「かねてから、仔細ありげに思うていたが、さてはそういう大望を抱かれているお身の上であったか……、ウーム、しかしこれは容易ならぬことじゃ」五社明神の階段(きざはし)に腰かけて、こう呟きながら童顔の眦(まなじり)をつぶった老翁は、即ちここの荒れ宮を守る神禰宜(かんなぎ)の橘左典(たちばなさでん)であった...
吉川英治 「剣難女難」
...かねてから魏の臣に列したい望みをもらしていたが...
吉川英治 「三国志」
...かねてから、卯木へは、さかんに言い寄っていたもう一人がいたのである...
吉川英治 「私本太平記」
...かねてから期(ご)していたこと...
吉川英治 「新書太閤記」
...かねてから、範宴の宿望であった大和(やまと)の法隆寺へ遊学する願いが、中堂の総務所に聴き届けられて、彼は、この初秋(はつあき)を、旅に出た...
吉川英治 「親鸞」
...かねてから注目の的(まと)になっていた善信である...
吉川英治 「親鸞」
...かねてから顔もよくわかっている花隈(はなくま)の用心棒の浮田甚兵衛(うきたじんべえ)と柴田一角(しばたいっかく)という浪人者であった...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...かねてから所長から内々の相談があったことだし...
蘭郁二郎 「宇宙爆撃」
...兎に角にこの宿屋だけはかねてから空想してゐた通りの位置にあつた...
若山牧水 「熊野奈智山」
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