...唯、おぼろげながら、知れるのは、その中に裸(はだか)の屍骸と、着物(きもの)を着た屍骸とがあると云ふ事である...
芥川龍之介 「羅生門」
...麻睡瓦斯(ますいガス)を放ったことが朧気(おぼろげ)ながら確認された...
海野十三 「宇宙尖兵」
...その意味がおぼろげに分って来たのだ...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...透(すか)せば朧気(おぼろげ)に立木の数も数えられるのであった...
江見水蔭 「怪異暗闇祭」
...人にきゝたるをおぼろげにおぼえて一ツ二ツかたりきかせなどして...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...今ではおぼろげながらわかっていたけれど...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...遠くおぼろげになってゆき...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...月の光で朧気(おぼろげ)に立札の文字を読むと...
中里介山 「大菩薩峠」
...私はおぼろげながら知りそめた...
中沢臨川 「愛は、力は土より」
...母が父の所へ嫁にくるまで御殿奉公をしていたという話も朧気(おぼろげ)に覚えているが...
夏目漱石 「硝子戸の中」
...敵塁の右の端(はじ)の突角の所が朧気(おぼろげ)に見え出した...
夏目漱石 「趣味の遺伝」
...おぼろげに聞き噛(かじ)っていただけの話ではちと荷がかちすぎる...
長谷川時雨 「最初の外国保険詐欺」
...久我の優しい眼(まな)ざしを透して、その奥に、おぼろげながら、幸福な自分の未来を見いだしているのだった...
久生十蘭 「金狼」
...おぼろげな言葉ながらも...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...深き夜の哀れを知るも入る月のおぼろげならぬ契りとぞ思ふとささやいた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...煤(すす)に包まれておぼろげなり...
森鴎外 「うたかたの記」
...おぼろげにわかるような気がした...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...――ふとお杉は夜中におぼろげに眼が醒めた...
横光利一 「上海」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??