...うつろな声で男爵に話しかけた...
ワシントン・アーヴィング Washington Irving 吉田甲子太郎訳 「幽霊花婿」
...うつろな余裕がそこにはあった...
有島武郎 「或る女」
...ひるの月み空にかゝり淡々し白き紙片(かみびら)うつろなる影のかなしきおぼつかなわが古きうたあらた代の光にけたれかげろふのうせなんとする昭和十三年三月清白しるす小序この廢墟にはもう祈祷も呪咀もない...
伊良子清白 「孔雀船」
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伊良子清白 「孔雀船」
...いかに、わが世の、あだなるや、空(くう)なるや、うつろなるや...
トゥルゲニエフ Ivan Tourguenieff 上田敏訳 「あすは、明日は、」
...うつろな声でたずねた...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...・春もどろどろの蓮を掘るとや・春がゆくヱンジンが空腹へひびく・くもりおもたい蛇の死骸をまたぐ・食べるもの食べつくし雑草花ざかり・春はうつろな胃袋を持ちあるく・蕗をつみ蕗をたべ今日がすんだ・菜の花よかくれんぼしたこともあつたよ・闇が空腹・死ぬよりほかない山がかすんでゐる・これだけ残してをくお粥の泡・米櫃をさかさまにして油虫・それでも腹いつぱいの麦飯が畑うつ・みんな嘘にして春は逃げてしまつたどしやぶり...
種田山頭火 「其中日記」
...うつろな目にも火が戻り...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「唇のねじれた男」
...うつろなる我を見出せし時...
徳田秋聲 「二つの失敗」
...うつろな瞳を空に向けました...
豊島与志雄 「三つの悲憤」
...栄蔵はうつろな眼をしてゐた...
新美南吉 「良寛物語 手毬と鉢の子」
...安堵の心とうつろな魂の疲れが人々を捕えた...
葉山嘉樹 「山谿に生くる人々」
...しかしうつろな、区分のない空間の中では、われわれの感覚は時間の尺度をも失ってしまう...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...さ霧する白き木柵幹彫れる桐のいくもと剥げそめし白きペンキの木柵に人人は倚りそのペンキあるいは剥げあるものは庭をのぞめり一鐘のラッパが鳴りて急ぎ行く港先生白堊城秋のガラスはひらごとにうつろなりけり...
宮沢賢治 「校庭」
...我々の精神の好奇心にああいう肉のついていない・うつろな骨片をかみしゃぶらせることによってこれをはぐらかすため...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...ばかなやつだ」六郎兵衛はうつろな声で呟いた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...うつろな眼をみはって...
山本周五郎 「柳橋物語」
...ついにうつろな空声に帰せざるを得ない...
吉川英治 「新書太閤記」
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