...泣きわめく遺族に取り囲まれたうつろな死骸(しがい)のように...
有島武郎 「或る女」
...死神(しにがみ)はなおも大きな、うつろな目で、皇帝をじろじろみつめていました...
ハンス・クリスティアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 楠山正雄訳 「小夜啼鳥」
...ひるの月み空にかゝり淡々し白き紙片(かみびら)うつろなる影のかなしきおぼつかなわが古きうたあらた代の光にけたれかげろふのうせなんとする昭和十三年三月清白しるす小序この廢墟にはもう祈祷も呪咀もない...
伊良子清白 「孔雀船」
...かれは明智のピストルと、警官隊のすがたに、おびえて、だんだん、あとじさりをし、いまは、黄金の大どくろの口のへんに、もたれかかって、肩で息をしながら、うつろな目で、こちらを見つめていました...
江戸川乱歩 「怪奇四十面相」
...その時の私のうつろな絶望の胸には...
太宰治 「女の決闘」
...うつろな眼をして私を見た...
太宰治 「津軽」
...四十四破産者の笑いそのもののうつろな笑いのうちに...
中里介山 「大菩薩峠」
...その下にうつろな寂(さび)しい穴がぽかんとあいていた...
新美南吉 「最後の胡弓弾き」
...栄蔵はうつろな眼をしてゐた...
新美南吉 「良寛物語 手毬と鉢の子」
...なぜか、気が沈む……サト子は、どうでもよくなって、うつろな声で、言った...
久生十蘭 「あなたも私も」
...その外(ほか)はみな形のない雲とうつろな深みであつた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...うつろな目で見上げた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...うつろな目をした手足の汚れていない一人の男が手押し車を押して...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部」
...うつろな上ずった声で...
本庄陸男 「石狩川」
...水に落ちてはつめたい波を立てうつろな音をあげ...
宮沢賢治 「秋田街道」
...それはうつろな・靄(もや)のような・思いで...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...云ってくれたんです」おふみはうつろな...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...二日もうつろな眼をしてゐる顏は...
吉川英治 「折々の記」
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