...いとおしみながら...
太宰治 「虚構の春」
...私は、こんな吹出物して、心まで鬼になってしまっているのだな、と実状が薄ぼんやり判って来て、私が今まで、おたふく、おたふくと言って、すべてに自信が無い態(てい)を装っていたが、けれども、やはり自分の皮膚だけを、それだけは、こっそり、いとおしみ、それが唯一のプライドだったのだということを、いま知らされ、私の自負していた謙譲だの、つつましさだの、忍従だのも、案外あてにならない贋物(にせもの)で、内実は私も知覚、感触の一喜一憂だけで、めくらのように生きていたあわれな女だったのだと気附いて、知覚、感触が、どんなに鋭敏だっても、それは動物的なものなのだ、ちっとも叡智(えいち)と関係ない...
太宰治 「皮膚と心」
...ますますいとおしみと...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...ただ一度しかない人生をいとおしみます...
宮本百合子 「新しい抵抗について」
...かねてわが身いとおしみたもうファブリイス夫人への消息(しょうそこ)...
森鴎外 「文づかい」
...「女一人」は女一人であることをいとおしみ...
山崎富栄 「雨の玉川心中」
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