...あろうことか、あるまいことか、国家を相手にしてたたかおうというのです...
江戸川乱歩 「怪人二十面相」
...あろうことかあるまいことか! しまいには...
橘外男 「棚田裁判長の怪死」
...あろうことか! この山の中に……近い村まで三里もあるという...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...農場の農夫たちは、父親の在世中から、もう疾(とっ)くに散り散りバラバラになっていましたが、この頃から馬丁(べっとう)の福次郎も、水番の六蔵も山を降って、あの淋(さび)しい山の中には、ただ娘たち二人っ切りが住んでいたのですが、しかもそのうちに、仲のいいこの姉妹(きょうだい)の間に争いが起ったらしく、あろうことか、あるまいことか! 妹は到頭、姉を撃ち殺してしまったというのです...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...あろうことかあるまいことか...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
...あろうことかバニスタが問題を勝手に見てしまったのではということで...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「三枚の学生」
...」と私が言うと、「あろうことか、署名までタイプ打ちだ...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 加藤朝鳥訳 「同一事件」
...あろうことか、その花嫁は墓地へ行って、新仏(にいぼとけ)の穴を発(あば)き、その中の棺の蓋(ふた)を取り、死人の冷えた肉と、骨とを取り出して、ボリボリ食っている、あまりのことに仰天して気絶したお婿さんを、その花嫁さんが呼び生かして言うことには、「お前さんは、死人の肉を食ったわたしを怖(こわ)いと思いますか...
中里介山 「大菩薩峠」
...それは、手に手に一抱えのものを持って、ある距離を取って壁画を眺めているお銀様の前を横切ると共に、あろうことか、今も不快の種となっていたその大床の床板の上へ持って来て、三人がおのおの胸いっぱいに抱えていた物を置き放してしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...「如何(いか)にも尤も、この儘許しては、取締りの私の一分が立ちませぬ、それでは皆の衆」「ハッ」十幾人のお腰元、事あれかしと待って居たのが、パッと寄って来ると、村松金之助を八方から取囲み、「狼藉者、神妙にしや」口々に罵(ののし)り乍ら、赤い襷(たすき)、白い扱帯(しごき)、黄色い帯止めと、あらゆる紐を四方から投げ掛け、恐れ入って蹲(うずく)まる青侍を、あろうことか、キリキリと縛り上げてしまったのです...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...「番頭の宇吉、こいつは口もちょっかいも達者で、ことに女にかけては町内でも名題の箸(はし)まめだ、あろうことか、主人の妾のお通に変なことばかりするそうで、――主人の依右衛門は、江戸一番の大気(だいき)だから、それを聴いても屁とも思わないが、小当りに当られるお通が参ってしまって、近頃は良い顔をしないそうで」「それっ切りか」「まだありますよ、主人の倅の幾(いく)太郎、先妻の子で二十一だ、どうも親仁の妾と反(そり)が合わず、顔を見ても口をきかない程で、青瓢箪(あおびょうたん)のヒョロヒョロ息子だが、こんなのが思い詰めると、とんだことをやり兼ねませんね」「――」「それから」「まだあるかえ」「主人の義理の弟の辰(たつ)之助――店の支配をして居る四十男ですがね、無口で愛嬌者だが、散々道楽をした揚句の堅気だから、何時(いつ)精進落(しょうじんおち)するかわかったものじゃない...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...帰国の暁には勲章をやるぞと、優渥なるお約束をつかわされ、また、ひょッとしたら大臣の位まで賜わるべき筈の手前らを、あろうことか、早や御忘却になるなどは、日ごろ御聡明なる殿下として、有り得べからざることなのでございまして、されば、手前らは……」皇帝は顔を引き緊めると、凛然たる声で、「うるさい、貴様は何者だ」と、また大喝する...
久生十蘭 「魔都」
...彼は*10コチリオンの真最中に床へ坐りこんで、あろうことか、踊っている女の着物の裾をつかまえたりし始めたものだ、それは婦人連の言葉によればまったく言語道断の所業であった...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
... あろうことか 正面かいだんを 下りて 牛乳おきばまで バターを 取ってきます...
ベアトリクス・ポッター Beatrix Potter 大久保ゆう訳 「ちょびひげサミュエルのはなし」
...そいつをあろうことかあるめえことか...
正岡容 「寄席」
...と、同時に、トン、トンと、二あしばかり退って、踏みしめると油断なく構えて、刀に、手をかけた容子(ようす)――雪之丞も、相手が、本気になって、身を固めたので、屹ッと闇を透かしてみつめると、あろうことか、それが、昔の兄弟子、今はあきらかに、敵とみとめずに置けぬ、門倉平馬なのだ!「ほう、そなたは?」と、思わずいうと、「江戸は、広いが、狭いのう――雪之丞、久しぶりだな? よう逢えたな?」「なに、雪之丞?」伴(つ)れの武士、おどろいたように呟いた...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...あんな柔弱な人物だとは思わなかった」「なにを見たのだ一体」「あろうことかあるまいことか...
吉川英治 「三国志」
...あろうことかあるまいことか...
吉川英治 「随筆 新平家」
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