...あのうたた寝(ね)の気持(きもち)――正気(せいき)のあるような...
浅野和三郎 「霊界通信 小桜姫物語」
...「もし、あのう、おぼうしとオーバーを、おぬぎになりましたら?台所(だいどころ)でかわかしてまいりますわ」と、おかみさんが声をかけた...
ハーバート・ジョージ・ウエルズ 海野十三訳 「透明人間」
...(あのうつむいた隊長のひよわそうな顱頂(ろちょう)を見おろした時ふと涙が出そうになったが...
梅崎春生 「日の果て」
...「あのう、こちら、リスボンからいらした日本領事館の方でしょう...
海野十三 「暗号音盤事件」
...あのう、縛っておきました小浜兵曹長がおりません」「なんだ、あの日本軍人がいないのか」「それからもう一つ、驚くべきことがございます」5「もう一つのおどろくべきことって、それは一体なんだ」怪塔王は、かみつくような顔をして黒人にききました...
海野十三 「怪塔王」
...それは……あのう...
海野十三 「不沈軍艦の見本」
...あのうわずった調子の...
大阪圭吉 「花束の虫」
...歯切れのよい東京弁の人なのが、興奮しているので一層テキパキした口調になって、何だか知れないが橋寺さんがひどく怒っている、僕はあんな因循姑息(いんじゅんこそく)なお嬢さんは嫌いです、あなた方はあの人を花やかだなんて云われるけれども、何処に花やかなところがあるんです、僕はこの縁談はキッパリお断りしますから今直ぐ先方へその旨(むね)をお伝え下さいと云っている、何でそんなに怒っているのかよく分らないけれども、二人きりでゆっくり話し合って見ようと思って、今日の夕方から一緒に散歩に行くように誘って見た、すると最初に女中が出たので、雪子さんがいらしったら出て下さいと云うと、いますと云って引っこんだきり、どう云う訳かなかなか雪子さんが出て来ない、散々待たして漸(ようよ)う出たには出たけれども、御都合は如何(いかが)ですと云っても、はいあのう、はいあのうを繰り返すばかりで、イエスだかノーだかさっぱり分らない、問い詰めると聴き取れないような細い声で、ちょっと差支えがございますので、………と、やっとそれだけ云って、あとは一と言も云わない、僕も癪(しゃく)に触ったからそれきりプツリ切ってしまった、橋寺さんはそう云って、いったいあのお嬢さんは人を何と思ってるんです、余り馬鹿にしてるじゃありませんかと、かんかんになっている...
谷崎潤一郎 「細雪」
...けど、あんまり優しいよって、時によったら張合いないのんで、――」わたし、まだその時までは自分のことは一つも光子さんにいうてなかったのんで、夫と結婚するようになった訳や、それから、あのう、いつやらの恋愛問題や、それについて先生にいろいろ心配して戴(いただ)いたことまで、その時すっくりいうてしまいました...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...「あのう」といって木之助は黙った...
新美南吉 「最後の胡弓弾き」
...あのうまい珈琲とクロワサンでしたかつたのだが...
野上豐一郎 「大戰脱出記」
...自活のために家出を許すけど、助けが必要になったら手紙を送れば喜んで迎えに行って、あのう、そのう、質草を取り戻してやろう」「もし成功したら、お父様」「アイダよ、そんなことは万に一つだ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部」
...「あのうつくしい景色のところが...
ルイザ・メイ・オルコット L. M. Alcott 水谷まさる訳 「若草物語」
...あのうるささ思うと些かうんざりね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...青年「あのう……」中年男の方に向ける哀願するやうな眼ざし...
三好十郎 「おスミの持参金」
...あのう十二時二十分の貨物列車の下つて来るまでには少々間がありましたので...
横光利一 「マルクスの審判」
...と、その時、ばたばたと梯子を上がって来た茶屋の女が、「あのうお客様...
吉川英治 「剣難女難」
...賀名生(あのう)へ逃げ落ちられたあとなのだ...
吉川英治 「私本太平記」
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