...尤もグラウンドのポプラアだけは不相変鬱々と茂つた梢に寂しい風の音を宿しながら...
芥川龍之介 「大導寺信輔の半生」
...鬱々(うつうつ)と松が茂つてゐる...
芥川龍之介 「日本の女」
...そこで彼はそれから先きの幾年を諸人の見る前に鬱々と暮らして...
レオニード・ニコラエヴィッチ・アンドレーエフ 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...鬱々として楽しまない...
太宰治 「お伽草紙」
...鬱々として樂しまない...
太宰治 「お伽草紙」
...春琴は常に我が居間の床脇(とこわき)の窓の所にこの箱を据(す)えて聴(き)き入り天鼓の美しい声が囀(さえず)る時は機嫌(きげん)がよかった故に奉公人共は精々水をかけてやり啼かせるようにした大抵快晴の日の方がよく啼くので天気の悪い日は従って春琴も気むずかしくなった天鼓の啼くのは冬の末より春にかけてが最も頻繁(ひんぱん)で夏に至ると追い追い回数が少くなり春琴も次第に鬱々(うつうつ)とする日が多かった...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...第十九世紀社会の大烈風はすでにかの上古において垂天の雲のごとき鬱々葱々(うつうつそうそう)たる貴族的の大木を抜き去れり...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...はかないあきらめを抱いて鬱々(うつうつ)としていた...
久生十蘭 「湖畔」
...鬱々と眼をとじていた...
久生十蘭 「肌色の月」
...従兄弟(いとこ)なり親友なり未来の……夫ともなる文三の鬱々(うつうつ)として楽まぬのを余所(よそ)に見て...
二葉亭四迷 「浮雲」
...それは絶望的な鬱々とした樣子であつた――それは虐待され...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...往来で二三度見かけた町の雛妓に初恋を感じて終日鬱々として部屋に引き籠つてゐた...
牧野信一 「毒気」
...」公爵は夜どほし鬱々と物を案じてゐた...
アルベエル・サマン Albert Samain 森林太郎訳 「クサンチス」
...全島鬱々たる樹木の山もそれまでは禿山との事...
横光利一 「欧洲紀行」
...また多血から来る鬱々(うつうつ)な忿懣(ふんまん)とをやりばなくしておいでだった...
吉川英治 「私本太平記」
...中軍の士気も何となく鬱々(うつうつ)と重く...
吉川英治 「新書太閤記」
...こんなさいの民主政体のまどろさには鬱々(うつうつ)とせずにいられない...
吉川英治 「随筆 私本太平記」
...何を鬱々(くよくよ)」と...
吉川英治 「源頼朝」
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