...帰納法の根本的欠陥は往々無反省に閑却される...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...自己及び自己の生活を改善するといふ一大事を閑却してはゐないか...
石川啄木 「弓町より」
...閑却すべきに非ず...
大町桂月 「上州沼田より日光へ」
...旭岳と羽衣滝とを閑却したるが...
大町桂月 「層雲峡より大雪山へ」
...そういう芸術家を生み出す社会的要因を閑却した考である...
津田左右吉 「偶言」
...ある一場面と次の一場面との空間的関係を示すような注意が一般にあまりに閑却され過ぎている...
寺田寅彦 「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」
...春信の板画の幽婉(ゆうえん)高雅にして詩味に富めるはむしろ科学の閑却に基(もとづ)けるものの如し...
永井荷風 「江戸芸術論」
...今度は賑(にぎや)かな左右の桟敷(さじき)に対する観察をも決して閑却(かんきやく)しなかつた...
永井荷風 「すみだ川」
...まだ一つ閑却することのできない種類の見物(みもの)があります――それは例の折助の一連でありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...得たり賢し――多年、冷遇され、閑却され、虐待され、無視されていた角行燈子(かくあんどんし)は、時を得たりとばかり、パッとあらん限りの瞼(まぶた)を開きました...
中里介山 「大菩薩峠」
...この生とあの生との取捨に忙がしきが故に生と死との最大問題を閑却する...
夏目漱石 「虞美人草」
...肝心の土壌(どじょう)を問題外に閑却(かんきゃく)しながら...
夏目漱石 「文芸委員は何をするか」
...閑却(かんきゃく)された幼児の欲望が本能が...
羽仁もと子 「たましいの教育」
...この閑却せられた譜本の中の一冊を...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...西洋料理屋はともかくも素人(しろうと)の家(うち)で西洋料理を出す時に何を苦(くるし)んで箸を閑却(かんきゃく)するか...
村井弦斎 「食道楽」
...官吏の職務を閑却した生活をこの二人がしているという点で...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...政府も決して閑却はしてゐないし...
吉川英治 「折々の記」
...全く史家にも閑却(かんきゃく)されているからである...
吉川英治 「新書太閤記」
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