...長崎屋の雇浪人、伊坂某は斬られ、圍ひの中の鐵三郎は奪ひ去られました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...――長崎屋の娘のお喜多が...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...無駄を言ひ乍らも二人は御切手町の生藥屋――長崎屋の店は遠慮して...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...近頃中田屋と倉賀屋の仲はどうだ」「サア」長崎屋は一寸答へに澁(しぶ)りました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お二人の仲を元々のやうにして上げ度いと骨を折つて居ります」長崎屋庄六は...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...長崎屋七郎兵衞とその弟の金之助が...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...長崎屋七郎兵衛と言や大した身上だ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...長崎屋七郎兵衛の商売仲間――と言うと抜け荷の仲間ですが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...それにしても、濡れ仏とは縁起でもないことを言いなさる」ひどく上機嫌にしゃべり立てるのを、長崎屋は、手でおさえるようにしながら、「いくら夏の雨でも、そんなことをしていては、からだに障る……ひと風呂あびて、浴衣にも着かえていらっしゃい...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...従って聴きのがすことが出来ない――長崎屋の顔さえ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...長崎屋さまに御不便だとお思いあそばしますと、あなたさま、見す見す莫大(ばくだい)な御利分があると御存じでありながら、お手をおゆるめになるとは、全く以って、恐れ入る外はござりませぬ」すると、広海屋が、組んでいた腕を、ぎゅっと引きしめるようにしながら、じろりと、雪之丞を見て、「太夫、そなたは、長崎屋にも、贔屓(ひいき)にされている身、だが、そこまで申してくれる故、打ちあけるが、商人道というものも、そなたが、今、言われる通り、どんな恩人、友達の仲でも、いざという場合は、武士の戦場、かけ引きがのうては叶(かな)わぬ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...長崎屋が、広海屋に対して、どんなに修羅(しゅら)をもやしているかは、雪之丞がよく知っている――それに負けぬ妄念(もうねん)を、広海屋の方でも抱いているのは当然と思われた...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...それゆえ、二人とも、浅間しい慾望の一部を成し遂げて、ともども、江戸にまで進出して来て、世間から、認められるようになったのちも、長崎屋は、広海屋を、どこまでも、先輩、上座(じょうざ)として、表面に立てていたのだ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...広海屋さん――」長崎屋は...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...元――元をただせば、わしの助けがあったればこそ、傾いた広海屋が、松浦屋を破滅させて、独り栄えることが出来たのだ――それは、浜川さん、あなたがよく知っているはずではないか――さ、はなして下さい、遣(や)って下さい」「わかっている――貴公のいうことはわかっている」と、以前に長崎代官をつとめて、これも暴富を積み、お役御免を願って、閑職につき、裕福に暮している旗本、三郎兵衛の前に、立ちふさがって、「だが、商人の戦いは、そう荒立ってもどうもならぬ――口惜しかったら、やはり、商いの道で、打ちひしいでやるがいい――ま、下に――」「何とおっしゃる! 浜川さん! じゃあ、そなたも、あッち側なのだね! 広海屋の仲間になってしまっているのだね!」と、長崎屋、歯を噛んで、浜川旗本を睨みつめ、「商人は、商いで戦えと! それを、こうまで、ふみにじられた、わしに言うのか! わしにどこに、商いで戦える力が残っている? 十何年の月日をかけて、一生懸命働いて来た黄金という黄金、江戸に見世を移すに使った上、短い一生、出来得るだけ富をふやそうと、さまざまな方角へ資本を下ろし、その上、今度こそ、最後の決戦と、手を出した米商(あきな)いに――伸(の)るか反(そ)るかの大事な場合と、知り抜いた広海屋にハメられたのだ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...「おのれ、憎さも憎し――それ、みんな、こやつをからめ取って、さんざんに打った上、お役人に突き出せ!」広海屋が、おめくのを、妻女が、泣きながら、押しとどめて、「まあ、あなた、しずまって下さいまし、みんなも手出しはなりませぬぞ」と、いって、長崎屋の前に、地べたにひざまずいて、「これ、長崎屋さま、三郎兵衛さま――どんな恨みが、主(あるじ)にはあるかも知れねど、赤子には、罪というてあるはずはなし、どうぞ、お腹が癒(い)えるよう、わたしの身を存分になされて、あの子だけは返して下さるよう――お返し下さるよう――」「は、は、は、その御愁歎(おなげき)は、ごもッともごもッとも」と、芝居がかりで、三郎兵衛は、あざみ笑って、「さりながら、聴かれよ、御内儀、あれも敵(かたき)の片われ、どうも、お言葉にしたがうわけにはなりませぬ」「でも、一体、あの子を、どうなされて?」若しや、やはり、たずさえている匕首で、咽喉ぶえを切り割かれてしまったのではないか――と、内儀は、必死の想いでたずねる...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...「長崎屋どの! 三郎兵衛どの! この広海屋一家に対して、どのようなお恨みを持っておいでかは知りませぬが、あの子には罪はない! あの子が、悪さをする筈がない! あの子をお返しなすって下さいまし、家も惜しくはありませぬ! この、わたしが、殺されようと、助かろうと、それもかまいませぬ! あの子だけを、お返し下さいまし!」「は、は、は! 泣きおるわ! わめきおるわ! うらみがあったら、そこにおる広海屋に言え! 亭主に言え!」と、こんな言葉だけは、すじが立つことをいって、長崎屋は、ふたたび、ゲラゲラ笑いになって、目をあげて、闇空を焦す炎が、大波のように、渦巻き、崩れ、盛り上り、なびき伏し、万態の変化の妙をつくしつつ、果しもなく、金砂子(きんすなご)を八方に撒き散らすのを眺めながら、「ほほう、ほほう、黄金の粉が、空一めんにひろがって行くぞ! 広海屋、見ろ、おぬし一代の栄華、贅沢(ぜいたく)――日本一の見物(みもの)じゃぞ! すばらしいのう! これを見ながら一ぱいはどうじゃ! 酒を持って来い! は、は、酒肴(しゅこう)の用意をととのえろ! ほほう! ほほう! 何ともいえぬ眺めじゃなあ」「おのれ、何をぬかすぞ! それ、この人殺し、火つけの罪人、早う、お役人を呼んで――」と、番頭の一人が、手代どもにいうのを、フッと、何か、思い当ったような広海屋、狂奮の中にも、キラリと、狡く目をはたらかせて、「待った! お役人衆に、このことを、お知らせするのは、まあ、待った!」「じゃと、申して、みすみす、この科人(とがにん)を――」「待てと言ったら!」と、止めて広海屋は、手鉤(てかぎ)を持った出入りの鳶(とび)に、「おぬし達、この長崎屋を、くくり上げて、ソッと、土蔵の中へ、入れて置いてほしい」「でも、お役人のお叱りをうけては――」「よいと申したら――気が昂ぶっているによって、落ちついてから、わしが、必ず自首させる――さあ、あまり、人目に立たぬうち――」広海屋はセカセカしくいった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...心の狂った長崎屋には...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
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