...葉子はとうとう行き詰まる所まで来たような思いをしながら...
有島武郎 「或る女」
...心は息詰まるように苦しかった...
岩野泡鳴 「耽溺」
...しかももし利子を取るという制度がなかったならば、いかに刻苦勉励しても今日の富豪の有するごとき莫大の財産を一代に造ることはとうてい不可能で、たとい巨万の財産を積み得たとしても、子孫が働かずに食い減らせばたちまち消滅するゆえ、数代も数十代も後の子孫までが、懐手で贅沢(ぜいたく)に暮らせるということはないから、人間と他の動物との財産制度上の相違は、詰まるところ、利子を取るか取らぬかという一点に帰するのである...
丘浅次郎 「動物の私有財産」
...息詰まるような時の何秒か何分かが過ぎていった...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...カアルソンは息詰まるやうな聲で叫んだ...
南部修太郎 「死の接吻」
...息詰まるやうな靜けさを包んだ...
南部修太郎 「ハルピンの一夜」
...お靜は息の詰まるやうな心持だつたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...十五此處まで行詰まると...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...にわかに息詰まるような非常な匂いを見せだしてきていた世の中は...
正岡容 「小説 圓朝」
...そして息詰まるような声で...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トビアス・ミンデルニッケル」
...鈍い空気が顔を撲(う)って胸が詰まるような気がした...
シュニッツレル Arthur Schnitzler 森鴎外訳 「みれん」
...来たばかりのときはあんまりどのお部屋も狭いので息が詰まるような気持でしたわ...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...砂の上に息詰まるほどタタキ投げられた上に...
夢野久作 「いなか、の、じけん」
...だから世間の事が行き詰まるんだ...
夢野久作 「近世快人伝」
...背後(うしろ)から菜ッ葉服の男に息の詰まるほどガッチリと抱きすくめられちゃったんです...
夢の久作(夢野久作) 「人間腸詰」
...詰まるでしょうかね」と冗談みたいに吐(ぬ)かしおってね……しかも...
夢野久作 「焦点を合せる」
...砲塔の息詰まるやうな熱氣の中で讀むのは...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...せっぱに詰まることがあって...
吉川英治 「鳴門秘帖」
便利!手書き漢字入力検索