...梟(ふくろふ)シャルル・ボドレエル黒葉(くろば)水松(いちゐ)の木下闇(このしたやみ)に並んでとまる梟は昔の神をいきうつし...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...カリンの木下闇は緑が降るやうにこめて...
竹久夢二 「砂がき」
...歯がみなうごく胡瓜こり/\かみしめてゐる・松へざくろの咲きのこる曇り梅雨寒い蚤は音たてゝ死んだ・くもり憂欝の髯を剃る□改作一句・そゝくさ別れて山の青葉へ橋を渡る□見なほすやぬけた歯をしみ/″\とほつくりぬけた歯で年とつた投げた歯の音もしない木下闇これが私の歯であつた一片□・釣られて目玉まで食べられちやつた例の歯をいぢくつてゐるうちに...
種田山頭火 「行乞記」
...この句のすぐ前に須磨寺や吹かぬ笛きく木下闇というのがあることを最近知った...
中谷宇吉郎 「「蛸壺」の句」
...木下闇(こしたやみ)の一本路が一二丁先で...
夏目漱石 「坑夫」
...よくも見えない木下闇(こしたやみ)を...
夏目漱石 「坑夫」
...お願いでございます」「――――」町外れの木下闇(このしたやみ)へ誘い入れると...
野村胡堂 「大江戸黄金狂」
...外は崖、崖の下は町家、その一番近いのは浪人小林習之進の家で、氣をつけて見ると、切戸への間の崖は、木下闇になつて、濕つた土の上には、明かな足跡があり、少し行くと雜草を踏んで、かなりはつきり道が付いて居ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...木下闇(このしたやみ)を分けて山路に差しかかった旅人清作の行手(ゆくて)に立ち塞がりました...
野村胡堂 「天保の飛行術」
......
前田普羅 「普羅句集」
...森閑として木下闇(このしたやみ)に枯葉を踏む自分の足音が幾度か耳を脅かした...
水上滝太郎 「山の手の子」
...あの木下闇には照り込むことが出来ない...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...上から枝が蓋(かぶ)さッていて下に木下闇(こしたやみ)が出来ている...
矢崎嵯峨の舎 「初恋」
...はるかに狼(おおかみ)が凄味の遠吠(とおぼ)えを打ち込むと谷間の山彦がすかさずそれを送り返し,望むかぎりは狭霧(さぎり)が朦朧(もうろう)と立ち込めてほんの特許に木下闇(こしたやみ)から照射(ともし)の影を惜しそうに泄(も)らし...
山田美妙 「武蔵野」
...片がわの茂みですが夏は木下闇(このしたやみ)のうす暗く...
吉川英治 「江戸三国志」
...栗の樹ばかりの木下闇も...
吉川英治 「剣難女難」
...道もジメジメした長い木下闇(こしたやみ)へかかっている...
吉川英治 「私本太平記」
...旅馴れた者にも気味悪い暗緑な木下闇(このしたやみ)――...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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