...春の日のある暮れ方二三の遊び友達と遊んだあとで何かつまらない落し物を探していた...
相馬泰三 「田舎医師の子」
...貧乏と放縦と情誼と無能との雑炊だ!暮れ方に樹明君来庵...
種田山頭火 「其中日記」
...暮れ方、酒と魚とを持つて樹明君来訪、まことによい酒よい話であつた、酒を飲みつくしてめでたく別れる、後始末してから、ぐつすり寝る...
種田山頭火 「其中日記」
...暮れ方からまた夕立模様となつた...
種田山頭火 「松山日記」
...そのまた翌日、むやみに探ね歩いてもしかたがない、何とか好い思案はあるまいかと一日外へ出ずに考えていたが、暮れ方になって、やっぱりあの先にいた路次の中の家主のところに行ってみるのがいいように思われるので、一日内にとじ籠(こ)もっているよりもと思って出かけていったが、一週間ほど不在(るす)といいおいていって、まだ三、四日にしかならぬのであるから、老婦人はまだ帰っていない...
近松秋江 「狂乱」
...時計は日暮れ方から見えなかった...
徳田秋声 「黴」
...彼の前には暮れ方の冷たい空気があった...
豊島与志雄 「囚われ」
...暮れ方、懇意な目細の若鳥が、遊びすぎたか、宿を借りに舞い込んで来たので、早速この話を持ち出したら、案外にも、彼の方が俺より先きに、あの男を見知っていた...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...或る日暮れ方、路易は又いつものやうに娘を待つてゐた...
堀辰雄 「顏」
...暮れ方、頭の君はお言葉どおりお見えになられた...
堀辰雄 「ほととぎす」
...一昨日の暮れ方、乗物町(のりものちょう)の師匠として聞えている笛の名人豊住又七(とよずみまたしち)が、用達しの帰り、自宅の近くまで差しかかった時、手拭いで顔を包んだ屈強な男が一人矢庭(やにわ)に陰から飛び出して来て、物をもいわずに又七を、それも、まるで猫の児かなんぞのように溝の中へ投げつけるが早いか、何処ともなく風のように消えてしまったというのである...
牧逸馬 「助五郎余罪」
...暮れ方の薄汚れた三味線堀のふちに立ってボンヤリ水の面(おもて)を眺めていたとき...
正岡容 「寄席」
...ある夏の暮れ方、カン蛙ブン蛙ベン蛙の三疋は、カン蛙の家の前のつめくさの広場に座って、雲見といふことをやって居りました...
宮沢賢治 「蛙のゴム靴」
...先頃日の暮れ方の薄明りに...
アルベエル・サマン Albert Samain 森林太郎訳 「クサンチス」
...いい加減酒の座が騒がしくなった日暮れ方のこと...
夢野久作 「骸骨の黒穂」
...その中(うち)に日暮れ方になると...
夢野久作 「キチガイ地獄」
...雨あがりの空は暮れ方になってから晴れて来た...
横光利一 「旅愁」
...おそらく暮れ方から大風が吹くであろう...
吉川英治 「三国志」
便利!手書き漢字入力検索