...船の上下は最後のどよめきに揺らぐように見えた...
有島武郎 「或る女」
...暫(しばら)くの間読者の胸に揺らぐを禁じ得ないのである...
伊藤左千夫 「歌の潤い」
...まず押してもたたいても決して揺らぐことのないようなある物を求め...
丘浅次郎 「我らの哲学」
...蝋燭の焔の揺らぐ下に...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...こうなると街路の柳の夕風に揺らぐのが...
寺田寅彦 「夏」
...先生の眼前には露に揺らぐコスモスの花ばかりがある...
原民喜 「秋日記」
...風のなかに揺らぐ破片...
原民喜 「鎮魂歌」
...あの写真は掘立小屋の揺らぐテントの蔭の木のベツドで注射の円い肩が波打つてゐた...
原民喜 「火の子供」
...朝毎に美しく揺らぐ透明な空気が何処かから僕を招いていたのだろうか...
原民喜 「夢と人生」
...ふと僕は花の蕾の上に揺らぐ透明なのが刻々に何かもの狂おしく堪えがたくなってゆくような気分に襲われた...
原民喜 「夢と人生」
...不安げに揺らぐものを持ったまま僕は...
原民喜 「夢と人生」
...僕にとって揺らぐ不安げなものは既にセピア色の澱みのなかに支えられ...
原民喜 「夢と人生」
...その声々にさながら日比谷の森も揺らぐかと思うばかり...
久生十蘭 「魔都」
...高い背びれは揺らぐことなく水を切り裂いていた...
アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Hemingway 石波杏訳 Kyo Ishinami 「老人と海」
...ときおり焔(ほのお)の工合でその光の揺らぐのが...
堀辰雄 「楡の家」
...揺らぐ帆柱の向うには不意にみどりと青の火焔が見えた...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「髪あかきダフウト」
...二ヵ所の篝火と揺らぐ夕闇と...
吉川英治 「上杉謙信」
...ここの一穂(すい)の燈火(ともしび)のほか揺らぐ人影もなかった...
吉川英治 「三国志」
便利!手書き漢字入力検索