...こう云う彼の心尽しも悉(ことごとく)水泡に帰したのである...
芥川龍之介 「長江游記」
...私達は早く起きて母の心尽しの朝飯を食つて出かけた...
安倍能成 「初旅の残像」
...昨日のものとは違った服装をさせようという母の心尽しがすぐ知れた...
有島武郎 「クララの出家」
...一針一針の赤糸に籠められた心尽しの身に沁(し)みない日本人はまず少ないであろう...
寺田寅彦 「千人針」
...何故(なぜ)先生は愛妻愛子愛女の心尽しの介抱(かいほう)の中に...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...妻の心尽しで、餉台の上には酒の銚子まで並んでいました...
豊島与志雄 「香奠」
...三木の大きな温い心尽しが感ぜられる...
豊島与志雄 「三木清を憶う」
...そして数々の細かな心尽し...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...昨日まで寝巻のまんまでいたけれども、ここへ来て、お寺の心尽しで、娘らしい一通りの借着を着せてもらっているけれども、焼かれたのがほんの一重ねだけでもあれば……と思いやられるところへ、このイヤなおばさんの記念ばっかりは、仕立卸し同様に、こんなにしてわたしの眼の前にある...
中里介山 「大菩薩峠」
...それに伴う心尽しの甲斐でなければなりません...
中里介山 「大菩薩峠」
...それは女房の心尽しなどに対して余りに無頓着(むとんじゃく)過ぎる比田を一方に置いてこの姉の態度を見ると...
夏目漱石 「道草」
...マダムの心尽しの...
牧逸馬 「ロウモン街の自殺ホテル」
...私は井上大使のお心尽しの有難さに思わず泣いて...
三浦環 「お蝶夫人」
...さりながら心尽しの御馳走とはかかるものをやいうならん...
村井弦斎 「食道楽」
...第百八十七蠅取男(はいとりおとこ)心尽しの御馳走は十数日の後中川兄妹の苦心によりて漸く整いぬ...
村井弦斎 「食道楽」
...第百九十四 鮎と犢(こうし)鮎の料理は主人が今日の心尽しなり...
村井弦斎 「食道楽」
...心尽しの御馳走に感服して声も平生(へいぜい)より高調子に「お登和さん...
村井弦斎 「食道楽」
...蔭ながら祈りますぞ」「何から何までのお心尽し...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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