...以心傅心に騎士全體の氣を引き立て其氣組の旺なことは實に空前のことゝいふ有樣であつた...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...けれどもそれは或は反感を起す程度にも相手を引き立てゝ考へないからかもしれません...
伊藤野枝 「妾の会つた男の人々(野依秀一、中村弧月印象録)」
...けだし彼女は検校の生前すでに実力を認められいつにても独立して差支(さしつかえ)ないよう許可を得ていたことと思われる検校は己(おの)れの名の一字を取って彼女に春琴という名を与え晴れの演奏の時しばしば彼女と合奏したり高い所を唄(うた)わせたりして常に引き立ててやっていたされば検校亡(な)き後に門戸(もんこ)を構えるに至ったのは当然であるかも知れぬ...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...無理に奥の間へ引き立てゝ来た...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...自分は引き立て役だという未亡人の言は必ずしも謙遜(けんそん)ではないが...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...萎(な)えたような心を我れから引き立てて行李(こうり)をしばったり書籍(ほん)をかたづけたりしながらそこらを見まわすと...
近松秋江 「うつり香」
...表を通る俥や人の足音に耳を引き立てているようであった...
徳田秋声 「足迹」
...」春次が引き立てるので...
徳田秋声 「縮図」
...何分お引き立てを――」「山木君(さん)...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...引き立てられてゆくところを...
豊島与志雄 「鳶と柿と鶏」
...ジャヴェルを引き立て...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...もうどうなってもわたしは知らない」お銀様はお君の手を取って引き立てるようにし...
中里介山 「大菩薩峠」
...左右から清作を引き立てるのです...
野村胡堂 「天保の飛行術」
...何かにつけていまこの自分を引き立ててくれていておくんなさる文楽師匠のお名前へ...
正岡容 「小説 圓朝」
...惟光(これみつ)や良清(よしきよ)らは、自身たちの命はともかくも源氏のような人が未曾有(みぞう)な不幸に終わってしまうことが大きな悲しみであることから、気を引き立てて、少し人心地(ひとごこち)のする者は皆命に代えて源氏を救おうと一所懸命になった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...そして引き立てて戸口を出る...
森鴎外 「山椒大夫」
...大病人に荒い詞(ことば)を使って気を引き立てるなんというのは...
シュニッツレル Arthur Schnitzler 森鴎外訳 「みれん」
...歸つたつて構はないんだ』そして彼は彼女を引き立てた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
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