...二人は喰い終ってから幾度も固唾(かたず)を飲んだが火種のない所では南瓜(かぼちゃ)を煮る事も出来なかった...
有島武郎 「カインの末裔」
...時として何か索(もと)むるものの如く同じ道を幾度も/\往来して居る男である事は...
石川啄木 「葬列」
...幾度も彼は恥をかいて下へ行けと命ぜられた...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...帰つて来た依頼人は彼のうしろから判をさし出しながら幾度も繰りかへして云つた...
武田麟太郎 「反逆の呂律」
...国木田は幾度も幾度も芸術を捨てかけた...
田山録弥 「閑談」
...幾度も植えなおしたりして...
豊島与志雄 「崖下の池」
...はじめは文句も成さなかったのを幾度も書き直した...
豊島与志雄 「蠱惑」
...幾度も取代えて来なければならなかった...
豊島与志雄 「変な男」
...竜之助の前には幾度も現われるこの女...
中里介山 「大菩薩峠」
...「あんな詭計(トリック)をどうして考えるのだ」と幾度も私に訊いた...
野村胡堂 「随筆銭形平次」
...重さうな頭を幾度も/\下げると...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...話をしている間に深味のある張(はり)をもった眼が幾度も涙でいっぱいになる...
長谷川時雨 「平塚明子(らいてう)」
...低いふるえを帯びた溜息は幾度も幾度も仙二の唇を流れ出して草の根元に消えて行った...
宮本百合子 「グースベリーの熟れる頃」
...幾度も吐息をついて手をふって見せた...
室生犀星 「蛾」
...幾度も幾度もうなずきつつ...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...かうした同じ冗談をこれ迄に幾度も言つた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...彼は、幾度も振向いた...
吉川英治 「源頼朝」
...日頃の信心が通じて、婆の手で、神仏が仇を討たせてたもるのじゃ」と、掌(て)をあわせて、幾度も、空を拝しているというような、いとも悠々たる老婆らしいところも、この老婆にはあるのだった...
吉川英治 「宮本武蔵」
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