...自分は自分の中に巣くう醜と惡とを見て羞恥の爲に飛上らざるを得ない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...馬の尾に巣くう鼠(ねずみ)はありと聞けど...
泉鏡花 「海の使者」
...それらはあまりに宏壮でその住人はそこに巣くう害虫にすぎぬ感がある...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...人は炉のなかに巣くうこともできるし窓の隅や長椅子のうえにうずくまることもできるし...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...ガードの下に巣くうている小店もある...
高浜虚子 「丸の内」
...僕自身へ巣くう生半可な態度は...
太宰治 「虚構の春」
...毒蛇の巣くう灌木(かんぼく)草原地帯を貫き...
橘外男 「令嬢エミーラの日記」
...机の上に秋がある・うらの畑のとうがらし赤くてお留守改作追加一句・ゆふべはやりきれない木蓮のしろさ行乞・いつから笠に巣くうたる蜘蛛といつしよに・枯れるものは枯れてゆく草の実の赤く・枯れゆく草のうつくしさにすわる十一月廿一日晴...
種田山頭火 「其中日記」
...かゞやく青葉・死がせまつてくる炎天・死をまへにして涼しい風・風鈴の鳴るさへ死はしのびよる・ふと死の誘惑が星がまたたく・死のすがたのまざまざ見えて天の川・傷(キズ)が癒えゆく秋めいた風となつて吹く・おもひおくことはないゆふべ芋の葉ひらひら・草によこたはる胸ふかく何か巣くうて鳴くやうな・雨にうたれてよみがへつたか人も草も八月十五日晴...
種田山頭火 「其中日記」
...鳥が巣くうによい...
豊島与志雄 「湯元の秋」
...越鳥(えっちょう)は南枝に巣くうということだが...
中里介山 「大菩薩峠」
...三室に巣くう第三流新聞の悲しさで...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...チチコフの内心に巣くうて彼を曳きずりまわしている慾望も...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...こころには蛇蝎(へび)が巣くうてゐるのです! あたしは...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...東部のクラブに巣くう連中で一人や二人...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「本命馬」
...しぶい微笑がその黒い髭の中に巣くう鳥のように動いた...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「魚と蠅の祝日」
...高野山(こうやさん)などの法城に巣くう僧徒兵力がみなそれであり...
吉川英治 「新書太閤記」
...権力の中に巣くうあくどい官閥共の謳(うた)う「わが世の春」である...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
便利!手書き漢字入力検索