...この時われ等が周圍には寂として何の聲も聞えず...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...実地に就いてお聴き取り相成りますることをお願いしたいのでございます」満場寂として声なく...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...林下寂として人なし...
大町桂月 「杉田の一夜」
...あたりは寂として物音一つ聞えてはこず...
橘外男 「逗子物語」
...苦しい!」寂としている...
田山花袋 「一兵卒」
...地上は寂として音もなく...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...寂として雪を聴くかのような重い外の空気...
中井正一 「実践について」
...崖下には人一人(いちにん)も居ないように寂として居て...
永井荷風 「狐」
...風は沈みて響なく牧場は寂として静なり...
永井壮吉 「偏奇館吟草」
...万籟寂として滅し...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...車の音が聞こえるぞ!」やがて一人の男が斯ういつて耳をそばだてると酒場は忽ち水を打つたやうに寂として...
牧野信一 「山峡の村にて」
...そこは寂として骨董品の展覧会のように...
松本泰 「日蔭の街」
...大引過(おおびけすぎ)の夜は寂としていた...
森鴎外 「細木香以」
...蕭寂として何の俗音も無い...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...陣中は寂として、墨の如く夜霧が降りていた...
吉川英治 「三国志」
...水を打ったように寂として...
吉川英治 「三国志」
...陣中、寂として、将士も憂いに沈んでいる...
吉川英治 「三国志」
...法師が、そっと覗(のぞ)いてみると、なるほど、瑯(ろうかん)みたいに白く凍(こご)えきった若者が、孤寂として、中の床(ゆか)にひとりで端座しているのである...
吉川英治 「親鸞」
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