...と見れば下枝は被を被せ置きたるまま寂として声をも立てず...
泉鏡花 「活人形」
...あたりは寂として物音一つ聞えてはこず...
橘外男 「逗子物語」
...苦しい!」寂としている...
田山花袋 「一兵卒」
...寂としてそこに立つてゐるのであつた...
田山録弥 「石窟」
...寂として雪を聴くかのような重い外の空気...
中井正一 「実践について」
...天地寂として声なく...
永井隆 「長崎の鐘」
...静寂として物音もなく...
萩原朔太郎 「詩の原理」
...万籟寂として滅し...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...鎮守の森にさしかゝると一同は水に浸つたかの如く寂としてしまひ...
牧野信一 「驚いた話」
...車の音が聞こえるぞ!」やがて一人の男が斯ういつて耳をそばだてると酒場は忽ち水を打つたやうに寂として...
牧野信一 「山峡の村にて」
...家中は寂としてゐた...
牧野信一 「村のストア派」
...×なつかしといへば、同じ雪の夜、席ハネてかへれば天の美録の生一本、すでに長火鉢の銅壺に沸れり――好物のすゞこなど肴にひとりいさゝか傾くれば、外面(とのも)は尚も雪のひそやかに降りしきる気配、あとは寂として、万物声なし...
正岡容 「滝野川貧寒」
...寂として客の絶間の牡丹かな蕭条として石に日の入る枯野かなのごときは「しんとして」「淋しさは」など置きたると大差なけれど...
正岡子規 「俳人蕪村」
......
室生犀星 「抒情小曲集」
...手首は寂としてびくともうごかなかった...
室生犀星 「童子」
...父は、勝家の去った本丸の一室に、寂として、独り坐っていた...
吉川英治 「新書太閤記」
...法師が、そっと覗(のぞ)いてみると、なるほど、瑯(ろうかん)みたいに白く凍(こご)えきった若者が、孤寂として、中の床(ゆか)にひとりで端座しているのである...
吉川英治 「親鸞」
...この秋ばかりは寂としていた...
吉川英治 「源頼朝」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??