...戸を開けっぱなしにしくさって風が吹き込むでねえか...
有島武郎 「カインの末裔」
...お前は人生に疲労と嫌悪とを吹き込むものだ...
レオニード・ニコラエヴィッチ・アンドレーエフ 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...その穴から吹き込む風と共に...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...井谷はだんだんそう云う風に吹き込むのであった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...「五十銭均一」という言葉には何かしら現代の一般民衆に親しみと気楽さを吹き込むあるものがあるのではないかという気がする...
寺田寅彦 「柿の種」
...いよいよ蝋管(ろうかん)に声を吹き込む段となって...
寺田寅彦 「蓄音機」
...彼がかつて専門の歌手らに完全に吹き込むことのできなかった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...寒風の吹き込む高天の裂け目にほかならない冬を見...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...枕のほとりいつしか落葉のこぼれたるをみる松の葉を吹き込むかぜの涼しきに咽びてわれはさめにけらしも二日...
長塚節 「長塚節歌集 下」
...これではまるで北風が吹き込むための塒(ねぐら)です……諸君は既にお分りでせう...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...今も窓から吹き込む風がふとなつかしい記憶のにほひを齎らしたりした...
原民喜 「壊滅の序曲」
...窓から吹き込む風にさらさらなびいている...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...まさしく神経病患者の独り路であるならば容易く山霊の催眠術を吹き込むにふさはしかつた...
牧野信一 「剥製」
...私は自分の力を信じてるんですもの……」「アアほんとうにお前はけしの花の様な女だ」「私自身でもそう生れついて来たのをよろこんでますわ」女は男の心の中に自分の毒を吹き込む様にホッと深い息を吐いた...
宮本百合子 「お女郎蜘蛛」
...穴のあいた屋根から吹き込む風が部屋の中いっぱいに渦を巻いた...
山本周五郎 「さぶ」
...あけて置くといつも風がまともに吹き込むのでわかった...
山本周五郎 「風流太平記」
...青木の店員が一息に吹き込む場況とを重ね合わせて聞きながら...
夢野久作 「鉄鎚」
...同じく熱烈ではあるがしかし好学心ではなくして芸術への愛を我々に吹き込むようなものであった...
和辻哲郎 「岡倉先生の思い出」
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