...終(つい)には大坂の商賈(しょうこ)鴻(こう)の池(いけ)、加島屋、辰巳屋などいえるものどもに借財して一時(いっとき)の乏しきを救うといえども、またその利息返償に一層の苦を増し、終(つい)に窮迫、せんかた尽(つ)きて、家中の禄をかりあげ、紙金(しきん)の通用鋳銭(ちゅうせん)などにて欠(けつ)を補うに至る...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...江戸で三井、鹿島、尾張屋、白木、大丸といったような、大阪で鴻池(こうのいけ)、炭屋、加島屋、平野屋、住友――京の下村、島田――出羽で本間、薩摩で港屋、周防(すおう)の磯部、伊勢の三井、小津、長谷川、名古屋の伊東、紀州の浜中、筑前の大賀、熊本の吉文字屋――北は津軽の吉尾、松前の安武より、南は平戸の増富らに至るまでの分限(ぶげん)を並べて、その頭のよいことに関守氏を敬服させた後、「それですから、ここに相当の金力の実力を持っている者がありとしますと、たとえば三井とか、鴻池とかいう財産のある大家の中に、先を見とおす人があって、これは東方が有望だ、いや西方が将来の天下を取るというようなことを、すっかり見とおして置いて、そのどちらかに金方(きんかた)をしますと、その助けを得た方が勝ちます、勝って後は、そのお金持がいよいよ大きくなります――それに反(そむ)かれたものは破れ、それが力を添えたものが勝つ、戦争は人にさせて置いて、実権はこれが握る、実利はこれが占める、政府も、武家も、金持には頭が上らぬという時節が来はしないか、わたしはそれを考えておりました」「御説の通りでございます――そこで、金持に見透しの利(き)く英雄が現われますと、天下取りの上を行って、この世をわがものにする、という手もありますが、間違った日には武家と共に亡びる、つまり大きなヤマになるから、堅実を旨(むね)とする財閥は、つとめて政権争奪には近寄らない、近寄っても抜き差しのできるようにして置く、さりとて、その機会を外して、みすみす儲(もう)かるべきものを儲けぬのは商人道に外れますから、時代の動きを見て、財力の使用を巧妙にしなければならない、天下の志士共は、今、政権の向背について血眼(ちまなこ)になっておりますが、商人といわず、財力を持つものも懐ろ手をして油断をしている時ではありません、ここで油断をすると落伍する、ここで機を見て最も有効に投資をして置くと、将来は大名公家の咽喉首(のどくび)を押えて置くことになる――ところでお嬢様、三井、鴻池などの身のふりかたはひとごと、これをあなた様御自身に引当ててごらんになると、いかがでございます、このまま財(たから)を抱えて、安閑として成るがままに任せてお置きになりますか、但しは、ここで乾坤一擲(けんこんいってき)――」不破の関守氏が、つまり今までの形勢論は、話の筋をここまで持って来る伏線でありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...加島屋の伜文次郎を縛つて行きましたぜ」「母親が刺された刻限(こくげん)に...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「加島屋のお桃さんが來てゐますよ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...私の夫加島屋文五兵衞は...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...――曲者はあの晩加島屋に三百兩の金が用意してある事を知つて居る武家だ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...――その曲者は多分加島屋の娘のお桃に顏か身體を見られたと思つて居るんだらう...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...加島屋へ顏を出せない」「すると...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...加島屋のお桃は無事で家へ戻りました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...内々は高利の金まで廻しているという名代の因業(いんごう)屋だろう」「その加島屋へ宵泥棒が入ったんで」「フーム」「手代の与之松は使いに出た留守...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...加島屋の倅文次郎を縛って行きましたぜ」「母親が刺された刻限に...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――曲者はあの晩加島屋に三百両の金が用意してある事を知っている武家だ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――それほどの武家はきっと自分の刺した加島屋の後家の様子を見に来るはずだ」「…………?」「加島屋に三百両の金がなくなるとホッとする人間がある...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...加島屋のお桃は無事で家へ戻りました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...近所の空家に隠しておいたお桃を下男に引出させて加島屋に返したのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...忠義酒屋の加島屋が一體どうしたと言ふんだ」平次は際限なくタガのゆるむ話を...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...尤も加島屋の物置にあつた筈の古い薪割が一梃なくなつてゐたさうで」「その時刻に店を出た者はないのか」「多勢の奉公人で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...この二人にだけは疑ひが掛らなかつたわけです――喜三郎は船へ來るとひどく腹を立てて裸になつて大川へ飛込んで薪割を搜すと言ひ出して皆んなに留められたさうで」「曲者は加島屋の家の者に違ひあるまい...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
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