...「先立つものがないとねえ」その嫌らしい笑い方が僕を激怒させた...
梅崎春生 「ボロ家の春秋」
...まず先立つものは金と資材(しざい)とであることを思い...
海野十三 「一坪館」
...何かにつけて先立つものは無念の涙だ...
近松秋江 「うつり香」
...まことに先立つものはイヤ気ばかりだ...
辻潤 「ふもれすく」
...何をするにも先立つものは金さ...
徳田秋声 「縮図」
...先立つものは金ですから...
徳田秋聲 「和解」
...この意味に於てそれは何かに論理的に先立つものと一応考えてよいであろう...
戸坂潤 「物理的空間の成立まで」
...今第二の即ち直観形式である処の純粋直観はそれが直観の形式である以上そして直観が之なくしては成立しない以上この直観に或る一定の意味に於て先立つものでなければならぬ...
戸坂潤 「物理的空間の成立まで」
...吾々はこのように部分の表象が全体の表象を基けそれに先立つものを外延量と呼ぶ...
戸坂潤 「物理的空間の成立まで」
...恋愛に先立つものでしかも恋愛をすでに含んでいる幼き友情を...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...「それは、人様の金子でないか」「いいえ――あいつの申します通り、もしも、水当りででも、五日、七日寝ましたなら、先立つものは金、又、手前が、これを使います分にゃあ、申訳も立ちますし――あいつも、なかなか、おもしろい奴でございます...
直木三十五 「南国太平記」
...先立つものは金だ...
中里介山 「大菩薩峠」
...それに何処(どこ)へ行くにしても先立つものは金だ」「それなら幸い――」およつは...
野村胡堂 「芳年写生帖」
...その動作は時に先立つもの...
波多野精一 「時と永遠」
...先立つものは金でな...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...やはり何よりも先に先立つものはこれなんだからね――と彼がにたにたと笑つたのも憶えてゐる...
牧野信一 「冬物語」
...却てその各がそれに先立つものの肩の上に倚りかかつてゐるところの諸世代の生産物である」...
三木清 「唯物史観と現代の意識」
...なにより先立つものがなかったからね」ばんくんの眼が静かに細まり...
山本周五郎 「季節のない街」
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