...」トウルゲネフは銃を抱へた儘...
芥川龍之介 「山鴫」
...と、その儘(まま)、あたしは気が遠くなった...
海野十三 「俘囚」
...K夫人の事はその儘にしておいて...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「耳香水」
...巻末に「右者五条御代官御役所時之御代官内藤杢左衛門(もくざえもん)様当時に被レ遊二御出一御中付候ニ付大谷源兵衛(げんべえ)七十六歳にて伝聞之儘(のまま)を書記し我家に残し置者也」とあって...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...こうした勝手な気儘が...
戸坂潤 「思想としての文学」
...ともかく史料をその儘書いた方がよいといふのが明史の出來る頃までの論である...
内藤湖南 「支那史學史概要」
...余は溪流にひたつた儘見ると宿は遙かに高い岸の上に建てられてあつて浴槽へ通ずる楷段はうねりくねつた長い妙な箱が斜に釣り下げてあるやうなものである...
長塚節 「旅の日記」
...枯木(かれき)の林(はやし)は立(た)ち騰(のぼ)る煙草(たばこ)の煙(けぶり)が根(ね)の切(き)れた儘(まゝ)すつと急(いそ)いで枝(えだ)に絡(から)んで消散(せうさん)するのも隱(かく)さずに空洞(からり)として居(ゐ)る...
長塚節 「土」
...風呂敷包一つ持つて近くの叔母の所へ客に行くといつて出た儘遁げて来たのだからといつておいよさんは紺飛白の洗ひ曝しと中形の浴衣と二枚より外持つては居なかつた...
長塚節 「隣室の客」
...其儘女の首根つこを掴んで家へ入ると...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...我儘(わがまま)な方で...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...内儀の死體はまだ其儘...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...そこで今日の熟成はその儘にしてその上に元気のよい若さだけを加へて欲しいと思ふ...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...寝られぬ儘に、私は夜着の中で今聴いた母の説明を反覆(くりかえ)し反覆し味(あじわ)って見た...
二葉亭四迷 「平凡」
...だが、分らないので、また大したことでないと信じたので、その儘、氣にかけず、やがて忘れて了つた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...泉鏡花先生こそは、自分の創造した世界に、自分の思ふまゝの人間を生かし、我儘に遠慮なく、自分の持つてゐる限りの思想感情を流露しつくし、表現し切れぬ惱みを殘さず、大往生を遂げられたのである...
水上瀧太郎 「覺書」
...そんな堕落――不倫――放蕩――我儘をしたいために...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...家を建てたときの儘というのが...
吉川英治 「押入れ随筆」
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