...しかしこのを話しつづけたトルストイの心ほど傷ましいものはない...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...傷ましい木よ、常世(とこよ)の生(いのち)の常世(とこよ)のざざんざ...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...それにもまして傷ましいのは...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...春三郎は此傷ましい釣臺を氣味惡げに目送する路傍の人を腹立たしく見返した...
高濱虚子 「續俳諧師」
...娘の上に降りかゝった傷ましい運命は...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...一層傷ましいやうな尊いやうな心持を誘ふのだつた...
田山花袋 「道綱の母」
...傷ましいのはいずれにしても患者達である...
戸坂潤 「社会時評」
...私は傷ましい悲劇の女主人公(ヒロイン)を眼の前にしながら...
南部修太郎 「ハルピンの一夜」
...この地下牢とコンコルド広場ほど傷ましいものはない...
野上豊一郎 「パリの地下牢」
...生前だれが――どんな彼の親友が――この傷ましい英雄を彼に見たか? 彼は人に理解されず...
萩原朔太郎 「芥川龍之介の死」
...限りない憂愁の情にとらえられるような傷ましい風景だった...
久生十蘭 「地底獣国」
...こんなにも古ぼけた傷ましい姿になり果てたトラックへの限りない哀惜(あいせき)のこころであった...
火野葦平 「糞尿譚」
...だが傷ましいことに...
藤野古白 藤井英男訳 「戦争」
...その傷ましいカタストロフが(その鉛筆が止まつて...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 堀辰雄訳 「巴里の手紙」
...街山間の盆地が、その傷ましい、荒蕪な杯盤の上に、祈念の如くに空に(ささ)げてゐる一つの小さな街...
三好達治 「測量船」
...傷ましい史蹟が多い...
吉川英治 「私本太平記」
...身をちぢめて潜伏していた彼の姿は傷ましい...
吉川英治 「随筆 新平家」
...見るも傷ましい気もちがする――これが『クロイツェル・ソナタ』発表の四年前におけるトルストイの性問題に関する所信であった...
米川正夫 「クロイツェル・ソナタ」
便利!手書き漢字入力検索