...今は昔と違つてな...
石川啄木 「我等の一團と彼」
...今は昔に比すれば学校も殖え...
丘浅次郎 「疑ひの教育」
...唐人髷に結つた中型のお七帶かなんかをしめた下町娘が小走りに、明石町から箱崎の方へ橋を渡つてゆく風景は、今は昔です...
竹久夢二 「砂がき」
...朝も夜も、面白い話ばかりだ、――女になつて子を生んだ夢の話、をとこ女の話、今は昔、米が四銭で酒が八銭の話...
種田山頭火 「行乞記」
...今は昔の家来で駒込(こまごめ)のすみにごくごく小さな植木屋をしているその者にかかッて...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...今は昔の初恋の人でないお銀様は...
中里介山 「大菩薩峠」
...今は昔の面影も残っていないそうである...
中谷宇吉郎 「寅彦の遺跡」
...「今は昔より下落したと云うのかい...
夏目漱石 「野分」
...今は昔互いに睦(むつ)み親しみつつ旦暮(あけくれ)訪(と)いつ訪われつ教えを受けし事さえ多かりしを懐(おも)い...
福田英子 「妾の半生涯」
...「今は昔、池の尾と云ふ所に禪珍内供と云ふ僧住き……此の内供は鼻の長かりける五六寸許也ければ、頷よりも下てなむ見えける、色は赤く紫色にして、大柑子の皮の樣にしてつぶ立てぞ※たりける、其れが極く痒かりける事無レ限し、然れば提(ひさげ)に湯を熱く湧して、折敷(をしき)を其の鼻通る許に竅て、火の氣に面の熱く炮らるれば、其の折敷の穴に鼻を指通して、其の提に指入れてぞ茹、吉く茹て引出たれば色は紫色に成たるを、喬樣に臥して鼻の下に物をかひて、人を以て踏すれば、黒くつぶ立たる穴毎に煙の樣なる物出づ、其れを責て踏めば白き小虫の穴毎に指出たるを、鑷子(けぬき)を以て拔けば、四分許の白き虫を穴毎より拔出ける、其の跡は穴にて開てなむ見えける、其れを亦同じ湯に指入してざらめき、湯に初の如く茹れば鼻糸小さく萎みて、例の人の小き鼻に成ぬ、亦二三日に成ぬれば痒くして※延て、本の如くに腫て大きに成りぬ、如レ此くにしつゝ腫たる日員は多くぞ有ける……」かういふ單にユウモラスな物語である...
堀辰雄 「芥川龍之介論」
...今は昔、昔は今と、即ちワンス、アツポン、エ、タイム、そこに一艘の船があつた...
牧野信一 「不思議な船」
...だが今は昔のようにいいものが出来難い...
柳宗悦 「雲石紀行」
...それに尚(しょう)侯邸も今は昔語りかと思うと...
柳宗悦 「沖縄の思い出」
...いわんやわが九百年前の先輩(せんぱい)『今昔物語』のごときはその当時にありてすでに今は昔の話なりしに反しこれはこれ目前の出来事なり...
柳田国男 「遠野物語」
...是も今は昔、或る一人の親族の老女に教えられたのは、煙管(キセル)で吸っていると時々何とも言えぬくらい、甘くておいしいことがある...
柳田国男 「木綿以前の事」
...こうした悠長な仕事が商売になったのも今は昔...
山本笑月 「明治世相百話」
......
横瀬夜雨 「花守」
...今は昔越前守為時とて才有て世にめでたくやさしかりける人は...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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