...一かどの御用も勤まる侍にむざと命を殞(おと)させたのは...
芥川龍之介 「三右衛門の罪」
...それにむざむざと……」「そういえば親分」と兄貴株の紳士鴨四郎(かもしろう)がいった...
海野十三 「地中魔」
...この幸運をむざむざと見捨てて...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「黒猫十三」
...むざむざと返してしまうなんて詰らない...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「鉄の処女」
...織さしの布をむざむざとつみ切ったかと思うと...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...それにしても地元の人たちのもう少しの後援があつたなら、さうむざむざと、――今更になつてはかへらぬ愚痴だが、そんな気がするのだが、とにかく、あすこまで持ちこたへて来た席亭主人に感謝する...
武田麟太郎 「落語家たち」
...むざむざと人に盗ませて……実に惜しいな...
豊島与志雄 「川端柳」
...荒木も、勿論達人であろうが、その技の差は、紙一重――討つにしても、討たれるにしても、むざと、負けぬだけの自信はある...
直木三十五 「寛永武道鑑」
...または古人が一世一代(いっせいちだい)の名作といわれた細工物はいかにお上の御趣意とは申ながらむざむざと取壊されるがいかにも無念で相なりませぬ...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...趣のある古いものをむざむざと壊して安っぽい新しいものに取り替えるような心なき企を...
野上豊一郎 「レンブラントの国」
...「押へても押へても押へきれない性慾の発作」それはむざむざと彼の若い生命を喰ひつめた悪魔の手であつた...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...このまゝむざむざと私達のケテイをあのやうな奴輩の獣慾の犠牲にされてはアポロの門前で割腹をしなければならなかつたから...
牧野信一 「三田に来て」
...むざむざとそこにある小銭の中から二十銭というものをとられてしまうのであった...
「小祝の一家」
...むざと鍵に手をかけられないのは当然だったかも知れない...
山本周五郎 「菊屋敷」
...そうむざむざと斬られはしないぞ」相手は呻きごえをあげた...
山本周五郎 「つばくろ」
...夜を徹したからといって武家ではそうむざと昼寝をすることはできない...
山本周五郎 「日本婦道記」
...……しかも重要な京極曲輪(きょうごくぐるわ)を、預けられておるご信望をも、むざと、ふみにじッて」と、悲涙して咽(むせ)ぶと、「に、人非人(にんぴにん)めッ」ひとしく、唇をかみ破って、三老の不忠を罵(ののし)った...
吉川英治 「新書太閤記」
...あの夥(おびただ)しい領民どもにむざむざと食わせては」「老人...
吉川英治 「新書太閤記」
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