...西の方の空は一体に薄紫にぼかした様な色になった...
伊藤左千夫 「野菊の墓」
...寒々と彼方に屹立する富士の姿をなよやかな薄紫の腰のあたりまでひッたりとぼかしこむ...
大阪圭吉 「闖入者」
...つい鼻先の柳の樹をさっと一刷毛(ひとはけ)薄墨にぼかしてしまう...
徳冨蘆花 「漁師の娘」
...むしろそれをぼかし弱めるのに役立っている...
豊島与志雄 「現代小説展望」
...それが青磁色の空にぼかしたように溶けこんでいる...
中谷宇吉郎 「黒い月の世界」
...しかし墨画のぼかしのような淡墨になると...
中谷宇吉郎 「硯と墨」
...この問題に関する吾々の判断をぼかしてしまうけれども...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...持前のやわらかくぼかしたような口調の低い一語とともに...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...下仕えは樗(おうち)の花の色のぼかしの裳(も)に撫子(なでしこ)色の服...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...墨でぼかしたようにかすんでいた...
山本周五郎 「橋の下」
...薄紫色のぼかしになって...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...カソリックを少しぼかして見せなければやりきれないんだから...
横光利一 「旅愁」
...桔梗(ききょう)ぼかしの白綾の上へ...
吉川英治 「私本太平記」
...小桜ぼかしの袖は...
吉川英治 「新書太閤記」
...猿面郎と綽名(あだな)されているその類の少ない顔にぼかして...
吉川英治 「新書太閤記」
...おぼろな月明りが更(ふ)けた夜をいちめんの雲母(きらら)光りにぼかしていた...
吉川英治 「親鸞」
...山蔭の早い夕べに影をぼかして...
吉川英治 「宮本武蔵」
...氏はそれを半ばぼかした屋根や廂(ひさし)にも...
和辻哲郎 「院展日本画所感」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??