...過ぎにしも過ぎせぬ過ぎしひと時に...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...ひとえに万全なる軍備の補強にありてひと時も忘れざるなり...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...諸君の債権者からひと時を不当にうばって...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...病苦にもそれを忘却に包むひと時がなかったが...
鷹野つぎ 「窓」
...それには少くともひと時ぐらゐの時間は經つた...
田山花袋 「道綱の母」
...「まだ飛ぶことを考えている……おれならうまくやるのに……」ひと時の混乱からたちなおると...
久生十蘭 「一の倉沢」
...「清兵衛さん、すると、ずっとその島のイギリス人どもといっしょにいたわけなのかい」清兵衛は、なぜか急に狼狽して、「異人といっしょに居りましたのは、ほんのひと時で、間もなく、私らだけで、ほかの島に移りました」清兵衛らの移ったのは、ペール島の北にある、周り十里ほどの島で地味が肥え、黒土が六尺もあって、なにによらず、蒔いてものの成らぬということはない...
久生十蘭 「ボニン島物語」
...そういうひと時、深夜の寂寞を破って、並々ならぬ叫び声が銀座四丁目の四角で起った...
久生十蘭 「魔都」
...勒々とした酔ひのひと時を怖れた彼等...
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...ひと時の寂寞...
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...ひと時、マリナは正気と礼節を失ったかのようだ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部秘話」
...黄昏のひと時に咲く紫の虹とも...
牧野信一 「嘆きの孔雀」
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三好達治 「池のほとりに柿の木あり」
...★池のほとりの黄昏(たそがれ)は手ぶくろ白きひと時なり草を藉(し)き静かにもまた坐るべし古き言葉をさぐれども遠き心は知りがたし我が身を惜しと思ふべく人をかなしと言ふ勿れ★鵞鳥は小径を走る...
三好達治 「測量船」
...静かな吹きはじまりのひと時は...
室生犀星 「荻吹く歌」
...みやこに上られてから四百何十日のあいだにお文おかきあそばすひと時もなかったとは...
室生犀星 「津の国人」
...おなじ權力の府にゐた人でも、ひと時代前だと、伊藤博文の春畝山人にしろ、木戸松菊や清浦奎堂にしろ、墨いたづらをやるには、やるやうに、官衣を脱いで書いてゐるが、このあひだうちの人々は、陸軍大將何々だの、勳何等何々だのと、肩書いかめしく、詩味も餘裕もなかつたやうである...
吉川英治 「折々の記」
...夜のひと時を自分のランプのほとりで...
レスコーフ Nikolai Semyonovich Leskov 神西清訳 「真珠の首飾り」
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