...うろ覚えの華厳経の言語(ことば)など引張り出して色々頼んでみたが...
薄田泣菫 「茶話」
...うろ覚えのままに...
太宰治 「創生記」
...うろ覚えの南部ヘレス産の黄葡萄酒・北部リオハ産の赤葡萄酒なんかと...
谷譲次 「踊る地平線」
...Kは青年時代に通つたうろ覚えの路を川に添つたり崖に添つたりして歩いた...
田山録弥 「田舎からの手紙」
...年代記のうろ覚えを頭の中で繰りひろげてみると...
中里介山 「大菩薩峠」
...うろ覚えが興に乗じて...
中里介山 「大菩薩峠」
...韻脚(いんきゃく)もうろ覚えにしか覚えていないものが何を苦しんで...
夏目漱石 「思い出す事など」
...うろ覚えの字さえそのままで少しも気にかからなかった...
夏目漱石 「明暗」
...――うろ覚えに私も覚えて居ります...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...二つばかりうろ覚えのお伽噺をして聞かせた...
牧野信一 「鏡地獄」
...うろ覚えだから誌すのは遠慮しておくが...
牧野信一 「推賞寸言」
...いへば去年の春は何処の宿で送つたかもうろ覚えであるかのやうな慌しさで...
牧野信一 「山の見える窓にて」
...うろ覚えに近いうさん臭い眼つきにすぎなかつた...
室生犀星 「鉄の死」
...こちらもほんのうろ覚えで...
山本周五郎 「いさましい話」
...うろ覚えだからね」玄一郎はこう云って笛をしまいにかかった...
山本周五郎 「いさましい話」
...行く路傍もうろ覚えの程度でときどき目的の村と寺の名を尋ねた...
横光利一 「旅愁」
...彼の記憶は少年の頃の遠いうろ覚えにすぎなかった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...――志賀寺の上人(しょうにん)は、手に一尋(ひとひろ)の杖をたずさえ、眉に八字の霜を垂れ、湖水の波に水想観(すいそうかん)を念じたもうに、折りふし、京極の御息女所(みやすどころ)、志賀の花園の帰るさを、上人ちらと見そめ給い、妄想起りて、多年の行徳も潰(つい)え、火宅の執念に一切を喪(うしな)い給う……「少し忘れたな」武蔵はそう思いながらまた、うろ覚えのまま、――柴の庵(いおい)に立ちかえり、本尊仏にむかい奉るといえども、観念の床(ゆか)には妄想の化(け)の立(たち)そい、称名のおん声だに、煩悩(ぼんのう)の息とのみ聞えたもう...
吉川英治 「宮本武蔵」
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