...×あの家は桃色の歯齦(はぐき)をしてゐる...
芥川龍之介 「軽井沢で」
...」と児玉氏は卓子(テーブル)を間(なか)に馬のやうに齦(はぐき)をむいで見せた...
薄田泣菫 「茶話」
...歯齦(はぐき)から血の出るほどの殴打があった...
太宰治 「古典風」
...ソシテワザト上下ノ歯齦(はぐき)ヲ強ク噛ミ合ワセ...
谷崎潤一郎 「瘋癲老人日記」
...くいついた歯齦(はぐき)を見せながら笑った...
徳田秋声 「新世帯」
...歯齦に膿(のう)をもつてゐるんで...
徳田秋聲 「歯痛」
...笑うと上の歯齦(はぐき)が剥(む)き出しになり...
徳田秋声 「縮図」
...一キロ内外の距離にあって、多くは家の中などにいてなんの創傷も受けず、その後軽い下痢くらいはあったが、元気で他の人の看護や焼け跡整理に立ち働いていた人々が、全身倦怠、皮膚蒼白の前駆症をもって発病し、体温は四〇度以上に上昇し、そのまま稽留し、口内炎を起こし、歯齦潰瘍ができ、後それは壊死し、咽頭義膜、潰瘍性扁桃腺炎を惹起し、飲食不能となる...
永井隆 「長崎の鐘」
...九月初頭に皮下溢血斑、高熱、歯齦壊死、咽頭潰瘍などの諸症状をもつ重篤な患者が多数突発したので、私たちは敗血症じゃないか、何か新しい急性伝染病じゃないかなどと疑い、対症療法を施しつつ詳細に観察しているうちに、血液疾患中の顆粒細胞欠乏症に酷似しているのに気づき、初めて骨髄が放射線に冒されたため白血球減少を来した結果とわかった...
永井隆 「長崎の鐘」
...煙管(きせる)をすつと拔(ぬ)いてから又(また)齒齦(はぐき)へ空氣(くうき)を吸(す)うて煙(けぶり)と一つに飮(の)んで畢(しま)つたかと思(おも)ふやうにごくりと唾(つば)を嚥(の)んで...
長塚節 「土」
...挽割麥(ひきわりむぎ)の勝(か)つた粗剛(こは)い飯(めし)は齒齦(はぐき)が到底(たうてい)それを咀嚼(そしやく)し能(あた)はぬのでこそつぱい儘(まゝ)に嚥(の)み下(くだ)した...
長塚節 「土」
...卯平(うへい)は缺(か)けた齒齦(はぐき)で煙管(きせる)を横(よこ)に噛(か)んでは脣(くちびる)をぎつと締(し)めると口(くち)が芒(すゝき)で裂(さ)いた樣(やう)に見(み)えた...
長塚節 「土」
...豆腐(とうふ)は彼(かれ)の齒齦(はぐき)に最(もつと)も適當(てきたう)した食料(しよくれう)であつた...
長塚節 「土」
...卯平(うへい)の齒齦(はぐき)には蕎麥(そば)が辷(すべ)つて噛(か)めなかつた...
長塚節 「土」
...齦(はぐき)は紫色に腫れ...
久生十蘭 「海豹島」
...ざらざらした親指を相手の頬と下歯齦(はぐき)にかけただけで...
ニコライ・ゴーゴリ 平井肇訳 「鼻」
...顔面には薄い顔面筋の間から頭蓋骨が白い歯齦迄むき出して笑い...
森於菟 「屍体異変」
...黄色い歯齦(はぐき)を出して笑うと...
蘭郁二郎 「鱗粉」
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