...たいてい酒毒(しゅどく)か黴毒(ばいどく)かのために舌が腐(くさ)っているようですからね...
芥川龍之介 「不思議な島」
...黴毒の爲に狂死したモーパツサンは内面道徳の天國に在つて...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...結核か黴毒かに定っているじゃありませんか...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「和製椿姫」
...あれは黴毒(かさ)で兩眼が潰れたのだと例の男が話した...
鈴木三重吉 「赤い鳥」
...疾病の種類(しゆるゐ)にして存在の証跡を今日に留むるは黴毒と虫齒なり是等の事は遺跡より出つる骨(ほね)と齒(は)とに由りて知るを得る事なれど...
坪井正五郎 「コロボックル風俗考」
...遺伝性黴毒からきた黒内障(そこひ)ではないかと私は思った...
豊島与志雄 「溺るるもの」
...赤犬の肉は黴毒の患者に著しい効験があると一般に信ぜられて居るのである...
長塚節 「太十と其犬」
...其(その)間(あひだ)に彼(かれ)は黴毒(ばいどく)を病(や)んだ...
長塚節 「土」
...我我人類の先祖の腦神經系統を犯した一種の黴毒性疾患が...
萩原朔太郎 「散文詩・詩的散文」
...良心とはくさりかかつた腦黴毒性の疾患である...
萩原朔太郎 「散文詩・詩的散文」
...黴毒で眼の潰れたやくざな父親と...
水野仙子 「醉ひたる商人」
...この東京の黴毒患者がみな公園裏の巣窟から傳染してくるのだといふ何日かの新聞に出てゐた統計表のことが...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...又は黴毒(ばいどく)に犯された個所の明瞭なもの)――――精神病で滅亡した家の宝物になっていた応挙(おうきょ)筆の幽霊画像――――磨(と)ぐとその家の主人が発狂するという村正(むらまさ)の短刀――――精神病者が人魚の骨と信じて売り歩いていた鯨骨の数片――――同じく精神病者が一家を毒殺する目的の下に煎(せん)じていた金銀瞳(め)の黒猫の頭――――同じく精神病者が自分で斬り棄てた左手の五指と...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...黴毒(ばいどく)とか...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...俺は黴毒(ばいどく)なんかには罹(かか)らないとか何とか云って威張っている奴の血液の中にコッソリ居残っている黴毒の地下細胞菌が...
夢野久作 「冥土行進曲」
...黴毒が頭に来ているせいじゃないか知らんと思ったくらい蠱惑(こわく)的な姿であった...
夢野久作 「冥土行進曲」
...その薬を差上げながら動脈瘤の病源である黴毒を根治するために...
夢野久作 「冥土行進曲」
...まるでペンキを塗った腸詰のようなその黴毒女(ばいどくおんな)を...
蘭郁二郎 「腐った蜉蝣」
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