...ただ黙々としてあるきつづけるのであった...
海野十三 「爆薬の花籠」
...黙々として隠従していたのか? そして兄弟の幸福(しあわせ)ばかり図って...
橘外男 「仁王門」
...一分ほど黙々と長椅子に掛けていたが...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...マネットとリューシーとが貸馬車で去るのを黙々と見送った後...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...一人黙々として歩いていた...
豊島与志雄 「狐火」
...非社交的に黙々として事務をとり続けた...
豊島与志雄 「死の前後」
...彼の者の、祈祷の効験の有無はとにかく、世子を呪うておる、その一条のみにても、打ち捨てておく訳には行かぬ」出雲守は、腕を組んで、黙々として、聞いていた...
直木三十五 「南国太平記」
...正三は憂はしげにただ黙々としてゐた...
原民喜 「壊滅の序曲」
...将校は黙々と肯くのであつた...
原民喜 「壊滅の序曲」
...すぐ貌(かお)をしかめて黙々と歩き出した...
北條民雄 「いのちの初夜」
...それまで私の理性の圧迫下で黙々と耐へてゐた「苦痛」といふやつが...
北條民雄 「年頭雑感」
...ともかく、もう老獪(ろうかい)になっている才子才人の社会ほど、黙々とした、あじきない所は、この世のどこにもないというのは事実ですからね...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...もう一杯……」頭山満氏黙々として箸(はし)を置いた...
夢野久作 「近世快人伝」
...男ばかりのボートが黙々として行き過ぎる...
横光利一 「欧洲紀行」
...一顧(こ)するとそのまま黙々と麓へ去った……あとは...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...それに貧乏でもあるし、ただ遊んでいるのも心苦しく、臼搗(うすつ)きの仕事を手伝いながら、ここから遠くない中国街道の頻繁なうわさから、もし武蔵の便りでも知れようかと、唄もない多年の「会えざる恋」を秘めて、染屋の庭の秋の陽(ひ)の下に、黙々と、毎日杵(きね)を持って想い搗(つ)いていたのであった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...佐渡は黙々と行きつ戻りつしていた――「わからぬ」「どこにも見えぬ」「こんなことなら...
吉川英治 「宮本武蔵」
...ちょうど、この辺が彼を縛(から)め捕った場所だという所で、駕から出して、行け! という手振りを示して押(お)っ放(ぱな)すと、「? ……」唖はしばらく、四方を眺め廻して考えていたが、やがて黙々と、御霊廟(みたまや)のうしろの方へ向って歩き出した...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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