...若い頃、利根川の畔(ほと)り鹿島の宿で、土用明けのざんざ降りを食って、三日も無言の行を続けたことを思いだしたが、あの黒ずんだ、色彩の無い、常陸の国の川沿いの丘の宿に比べると、此処は雨もまた優しく懐かしい...
岩本素白 「雨の宿」
...黒ずんだ梁も柱も未だがっしりしていた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...黒ずんだやうな家と...
鈴木三重吉 「桑の実」
...よく見れば栗の木も山羊の檻も仄(ほの)かに黒ずんだ形が見分けられた...
鈴木三重吉 「桑の実」
...黒ずんだ薄い唇は嫌惡と侮蔑にひきつつたやうにゆがんでゐる...
太宰治 「お伽草紙」
...黒ずんだ昔のままの塀と...
谷譲次 「踊る地平線」
...谷をおおう黒ずんだ青空にはおりおり白雲が通り過ぎるが...
寺田寅彦 「花物語」
...睫毛の長い黒ずんだ眼で...
豊島与志雄 「朝やけ」
...「漱石」と記さず「夏目金之助」とだけ書いたあの黒ずんだ標札と共に……...
野村胡堂 「胡堂百話」
...黒ずんだ血とに妖しい對照を見せて居ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...黒ずんだぼろぼろの壁掛け――の人を迷わすような影響によるものだと無理に信じようとした...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「アッシャー家の崩壊」
...小さい黒ずんだ島がある...
エドガア・アルラン・ポオ Edgar Allan Poe 森林太郎訳 「うづしほ」
...建物の木造部はどこも皆黒ずんだ色で...
エドガア・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「鐘塔の悪魔」
...3 黒ずんだ黄褐色...
エドガア・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「鐘塔の悪魔」
...葉が藍の葉のように黒ずんだ色になってしまう...
牧野富太郎 「植物記」
...黒ずんだ畳の上をあかね色に悲しげに射していた...
室生犀星 「幻影の都市」
...其所(そこ)には黒ずんだ○△寺の山門が見えた...
山下利三郎 「誘拐者」
...黒ずんだ血の塊が二個所ばかりで発見せられた...
モーリス・ルプラン 菊池寛訳 「奇巌城」
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