...一片の麩(ふ)を争う池の鯉(こい)の跳躍への憧憬(どうけい)がラグビー戦の観客を吸い寄せる原動力となるであろう...
寺田寅彦 「からすうりの花と蛾」
...天麩羅(てんぷら)か何か...
徳田秋声 「黴」
...お銀の好きな天麩羅(てんぷら)を喰べた...
徳田秋声 「黴」
...「金魚に麩は、人間にお茶のようなもので、食べても少しも滋養にはなりません...
豊島与志雄 「変な男」
...麩味噌(ふすまみそ)で佳味(うま)かねえが今(いま)ぢやそんでもお汁(つけ)は吸(す)へるこた吸(す)へんのよ」卯平(うへい)は自分(じぶん)の手柄(てがら)でも語(かた)るやうないひ方(かた)であつた...
長塚節 「土」
...醤油は亀甲万の極上品があり、豆腐でも、生麩でも、らっきょうでも、何でも欲しいものが、すっかり揃っている...
中谷宇吉郎 「湯川秀樹さんのこと」
...与次郎はそのうち銀座(ぎんざ)のどことかへ天麩羅(てんぷら)を食いに行こうと言いだした...
夏目漱石 「三四郎」
...十分立って次の教場へ出ると一つ天麩羅四杯なり...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...よし分ってもおれの事を天麩羅と云ったんじゃありません...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...迷亭が金魚麩ならあれは藁(わら)で括(くく)った蒟蒻(こんにゃく)だね...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...大きな桶に入れた麩麺(そうめん)が持ちだされる時もあるし...
長谷川時雨 「流れた唾き」
...私は蓮根の天麩羅を食うてしまって...
林芙美子 「風琴と魚の町」
...しかし一番大切なのはこの煉り方で根気好く煉っているとちょうど生麩(なまぶ)のようになって来てブツリブツリと中が泡立ちます...
村井弦斎 「食道楽」
...保は二月九日の夜(よ)母が天麩羅蕎麦(てんぷらそば)を食べて炬燵(こたつ)に当り...
森鴎外 「渋江抽斎」
...離れの手すりにもたれて池の鯉へ麩を投げているおきえさんをみやりながらこう独り言のように云うているのを傍で紀久子は聞いていたことがあった...
矢田津世子 「父」
...是は麩を製するとき水の底に澱んだものを...
柳田國男 「食料名彙」
...麩になり生麩になる部分が今よりも遙かに多いので...
柳田國男 「食料名彙」
...おかゆと麩とクズ湯にばかり馴づんでゐた...
吉川英治 「折々の記」
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