...――嘸(さぞ)うちたての蕎麥(そば)を罵(のゝし)つて...
泉鏡太郎 「麻を刈る」
...麥畑入り込み、竹林、雜木林相接し、松林もあり...
大町桂月 「久地の梅林」
...重藏の所有地に蕎麥店を開く...
大町桂月 「近藤重藏の富士山」
...桃の紅、李の白、菜花の黄、麥の緑、之に、一帶の雲が日に映じて紫となれるを合はせて、滿目、五色の天地と、ふと一ぷく吹かしたくなりたるも、おぞや、まだ悟れぬ凡夫の身也...
大町桂月 「春の郊外」
...*聖麥おのおの手に取りぬ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...小麥と交ざし作りの豌豆が小麥の莖にからみながら立ちあがつてしほらしい花をびつしりとつけて居る...
長塚節 「芋掘り」
...自分は埃の立つ麥畑さへ興味を發見する樣に成つたのを衷心悦んで居る...
長塚節 「教師」
...さう思へば蕎麥の花の中には焦げた木が所々立つて居る...
長塚節 「佐渡が島」
...其(その)麥(むぎ)や芒(すゝき)の下(した)に居(きよ)を求(もと)める雲雀(ひばり)が時々(とき/″\)空(そら)を占(し)めて春(はる)が深(ふ)けたと喚(よ)びかける...
長塚節 「土」
...蕎麥(そば)は短(みじか)く切(き)れるとて何處(どこ)でも厭(いと)うた...
長塚節 「土」
...おつたは稍(やゝ)褐色(ちやいろ)に腿(さ)めた毛繻子(けじゆす)の洋傘(かうもり)を肩(かた)に打(ぶ)つ掛(か)けた儘(まゝ)其處(そこ)らに零(こぼ)れた蕎麥(そば)の種子(み)を蹂(ふ)まぬ樣(やう)に注意(ちうい)しつゝ勘次(かんじ)の横手(よこて)へ立(た)ち止(どま)つた...
長塚節 「土」
...種(たね)蒔(ま)く日(ひ)が僅(わづか)に二日(ふつか)の相違(さうゐ)で後(おく)れた麥(むぎ)の意外(いぐわい)に收穫(しうくわく)の減少(げんせう)した苦(にが)い經驗(けいけん)を忘(わす)れ去(さ)ることが出來(でき)なかつた...
長塚節 「土」
...彼(かれ)は標準(へうじゆん)として教(をし)へられた其(そ)の日(ひ)を外(はづ)すことなく麥(むぎ)は蒔(ま)かねばならぬものと覺悟(かくご)をして居(ゐ)るのである...
長塚節 「土」
...遠き越後の山に雪の光りて麥もまたひとの怒りにふるへをののくか...
萩原朔太郎 「純情小曲集」
...ああ 人生はどこを向いてもいちめんに麥のながれるやうで遠く田舍のさびしさがつづいてゐる...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...麥畑の上をすずしい風がそよそよと吹いています...
林芙美子 「龜さん」
...「見ず知らずの人は一椀(わん)の麥飯も喰はしては呉れない...
正宗白鳥 「入江のほとり」
...埋めた地面の上へ麥の種を播いた事もある...
松本文三郎 「印度の聖人」
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