...しかしながら自分のやうな者は、本来安井曾太郎と中川一政の二人を偉いと思つてゐればよいので、正直なところ宮澤賢治の故郷花巻のはづれや、盛岡から二つさきの滝沢の放牧場で、向ふの山の麓、あれが啄木の出たところですと人々に指さし教へられても、これはなかなか戦国時代だなあと腹の中に呟きこんでゐたのである...
小穴隆一 「又三郎の学校」
...智恵子は富士山麓の秋の七草の花束をヴエズヴイオの噴火口にふかく投げた...
高村光太郎 「智恵子抄」
...天笠山(てんりゅうざん)の麓へ運ばれ...
田中貢太郎 「断橋奇聞」
...二萬騎にあまる軍勢が此の山の麓(ふもと)を幾重にも囲んでいる...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...その麓から半腹にかけては...
田山録弥 「田舎からの手紙」
...久能山麓を海岸に沿うて南へ行くに従って損害が急に眼立って来た...
寺田寅彦 「静岡地震被害見学記」
...浅間山麓を迂廻してる草津旧街道の...
豊島与志雄 「逢魔の刻」
...〔『日本』明治三十一年二月二十一日〕五たび歌よみに与ふる書心あてに見し白雲は麓(ふもと)にて思はぬ空に晴るる不尽(ふじ)の嶺(ね)というは春海(はるみ)のなりしやに覚え候...
正岡子規 「歌よみに与ふる書」
...麓(ふもと)近きところまで来たり...
柳田国男 「遠野物語」
...紀州の高野(こうや)の麓の鞆淵(ともぶち)村あたりでは...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...「西南の麓(ふもと)あたりに...
吉川英治 「三国志」
...麓の木戸へ言い入れ...
吉川英治 「私本太平記」
...麓の三石からも聞えて来た...
吉川英治 「私本太平記」
...粛々(しゅくしゅく)と麓へむかって降りかけていた...
吉川英治 「新書太閤記」
...そのとき、何が突発したのか、麓の方で、ただならぬ喧騒が起った...
吉川英治 「新書太閤記」
...谷間谷間麓(ふもと)から白河のあたり...
吉川英治 「親鸞」
...下妻の庄からほど近い稲田山の麓――吹雪(ふぶき)ヶ谷(たに)に新しく一院を建てて...
吉川英治 「親鸞」
...伊豆天城山の北の麓...
若山牧水 「樹木とその葉」
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