...チヨツキが緋天絨鴦(ひびろうど)なので...
芥川龍之介 「南瓜」
...鴛鴦(をしどり)は勿論姉(あね)の前の吊(つ)り革に片手を托してゐる...
芥川龍之介 「鷺と鴛鴦」
...忽ち如何(いか)なる紳士(しんし)よりも慇懃(いんぎん)に鴛鴦へ席を譲(ゆづ)つた...
芥川龍之介 「鷺と鴛鴦」
...鴛鴦の魂がスッと抜出したようでなりませんや...
泉鏡花 「唄立山心中一曲」
...鴛鴦のやうなお冠船はふわふわと湾内にねむつて濃い夢をむさぼる...
濤音 「うし」
...床の間の軸につがいの鴛鴦が泳いでいるのは俗だが...
豊島与志雄 「慾」
...あのしずかな草山につつまれた入江に海のはてからわたってきておのずからなる舟の形にむつみあう浮寝(うきね)の鴛鴦(おし)よ...
中勘助 「島守」
...心爲に動き即愚詠八首を以て之に答ふ(其六首を録す)津の國のはたてもよぎて往きし時播磨の海に君を追ひがてき淡路のや松尾が崎もふみ見ねば飾磨の海の家島も見ず飾磨の海よろふ群島つゝみある人にはよけむ君が家島冬の田に落穗を求め鴛鴦の來て遊ぶちふ家島なづかし家島はあやにこほしもわが郷は梢の鵙も人の獲るさとことしゆきて二たびゆかむ播磨路や家島見むはいつの日にあらむ女あり幼にして母を失ひ外戚の老婦の家に生長せり...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...ただ気の毒なのは鴛鴦歌(えんおうか)を作った東風君くらいなものさ」「なに鴛鴦歌は都合によって...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...鴛鴦(をしどり)のやうに仲よく添寢してゐる夫が...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...鴛鴦(ゑんあう)の床は溢(あふ)れるばかりの血汐にひたされ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...髻に挿む玉鴛鴦と云ふべく...
牧野信一 「緑の軍港」
...昼の食事を運んでいくと机の上にひろげられた一冊の本へ夫婦が鴛鴦(えんおう)のように肩を並べて睦じく目を落としていた...
正岡容 「小説 圓朝」
...猪自ら誇って曰く、摩竭と鴦の二国、我汝とともに闘うを聞かん、汝来って我と戦え、何を以て怖れて走る...
南方熊楠 「十二支考」
...夢に鴛鴦の雌が上の姿で現われて...
柳田國男 「夢と文芸」
...帰る片鴛鴦(かたおし)『殿様には...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...片鴛鴦(かたおし)のように...
吉川英治 「べんがら炬燵」
...ちょうど二羽の火の鴛鴦(おしどり)が泳いでゆくように遠くからは見える...
吉川英治 「宮本武蔵」
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