...鳥は鳩や鴉(からす)の外に雀も縁側へ舞いこんだりした...
芥川竜之介 「歯車」
...実際雑音のやかましさが、静虚な心境を楽しむものや、思惟の生活を愛するものにとつて、憎むべき鼠であり、鴉であり、また虎であることについては、私が殊更めかしてここに言はなくとも、むかしの詩人が夙(はや)くからいつてゐる...
薄田泣菫 「独楽園」
...窓へのぞいて柿の若葉よ播いてゐるときほとゝぎす・ほとゝぎすがなけば鴉も若葉のくもり身のまはりかたづけてさみしいやうな仲よく空から梅をもいでは食べ・伸びぬいて筍の青空・あてなくあるくや蛇のぬけがらどうしても寝つかれないで...
種田山頭火 「行乞記」
...鴉よ、あんまり啼いてくれるな...
種田山頭火 「其中日記」
...けふも鴉が身にちかく啼く...
種田山頭火 「其中日記」
...・とめられて泊つて海の音(帰城子居)・大きいのが小さいのが招き猫が春の夜役場のさくらのいそがしくもちるか水の上はまだ寒い火を焚いて朝早くそこら人声のして明けてくる春の波朝の海からどしどし運びこんでゐる・ほろりと最後の歯もぬけてうらゝか・水にうつりて散つてゐるのは山ざくら・山ふところの山さくら花ざかり・芽ぶいて山はあふれてさゞなみ・啼いて鴉の、飛んで鴉の、かへるところがない(述懐)・伊勢は志摩はかすんで遠く近く白波・波音の松風となる水のうまさは(半月庵蛤水)ひとり兎を飼うてひつそり(健三居)四月十九日曇つたり晴れたり、花ぐもりだ...
種田山頭火 「旅日記」
...……鴉(からす)にさらわれなけりゃいいが……(退場)テレーギン...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「ワーニャ伯父さん」
...鴉が落ちた時に大きな響を立てたのは落下率が加はつたからだと半分は戲談にいつた...
長塚節 「教師」
...此(こ)れにて俺(お)れは歸(かへ)るぞよう……」それから又(また)「鴉(からす)の鳴(な)きがそでなくもう……」と反覆(くりかへ)しつゝ巫女(くちよせ)の婆(ばあ)さんの聲(こゑ)は輕(かる)く引(ひ)いてそつと拔(ぬ)いたやうに止(や)んだ...
長塚節 「土」
...星鴉がのどをふるわせているのも面白いし...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...折柄(おりから)戦の声は夜鴉の城を撼(ゆる)がして...
夏目漱石 「幻影の盾」
...女は長い睫(まつげ)の奥に漾(ただよ)うているような眼で鴉を見詰めながら「あの鴉は五羽います」といったぎり小供の問には答えない...
夏目漱石 「倫敦塔」
...鴉(からす)のむれがその塔のまわりに輪を描いて飛んでいた...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...鴉のやうなわらひ声を挙げて...
牧野信一 「城ヶ島の春」
...凩(こがらし)に鴉(からす)...
正岡子規 「俳諧大要」
...木登りをして熊だ鴉(からす)だとからかはれ...
三木竹二 「両座の「山門」評」
...自慢じゃ御座んせんが小学校を出たばかりのタタキ大工なんで……雀がチューチュー鴉(からす)がカアカア...
夢の久作(夢野久作) 「人間腸詰」
...夜鴉(よがらす)が奇怪なカーブを描きながら...
横光利一 「花園の思想」
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