...九歳(こゝのつ)の時には真剣に女に惚れるやうになり...
薄田泣菫 「茶話」
...いつも聽き惚れる嬌音は相變らず身に入(し)むやうに覺えるが...
高濱虚子 「俳諧師」
...知らない女にも惚れるのだ...
高見順 「いやな感じ」
...惚れると言い、惚れられると言い、その言葉はひどく下品で、ふざけて、いかにも、やにさがったものの感じで、どんなに所謂「厳粛」の場であっても、そこへこの言葉が一言でもひょいと顔を出すと、みるみる憂鬱の伽藍(がらん)が崩壊し、ただのっぺらぼうになってしまうような心地がするものですけれども、惚れられるつらさ、などという俗語でなく、愛せられる不安、とでもいう文学語を用いると、あながち憂鬱の伽藍をぶちこわす事にはならないようですから、奇妙なものだと思います...
太宰治 「人間失格」
...男に惚れるような女ならばかえってまた手を施すことも出来るのであるが...
近松秋江 「霜凍る宵」
...その後また遊びにいつたときに飛田は「こなひだいい縮があつたからお揃ひに買つといたよ」といつて反物を渡しながら「これにいつかの羽織をきて銀座を歩くと女が惚れるよ」とつけ加へた...
中勘助 「きもの」
...実を云うと惚れるとか惚れないとか云うのは俳人その人に存する感情で烏とは没交渉の沙汰であります...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...あんな埃(ほこ)りつ臭い荒つぽい男に惚れる筈はないよ」「成程ね」ガラツ八もそれは簡單に承服しました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...心から男に惚れる道を知らないで今日まで来たみたいだわ...
林芙美子 「瀑布」
...両腕を架しているお京と染奴とを、交互にふりかえりながら、「芸者衆、見たかい? 玉井金五郎、惚れるなら、あんな男に惚れなさい...
火野葦平 「花と龍」
...少年の眼はやがて閉されて心に映つた幻像の動きに見惚れる...
北條民雄 「童貞記」
...T「俺の様なやくざ者が惚れるのは間違いだ」泌々と独り言...
山中貞雄 「恋と十手と巾着切」
...T「矢張り俺なんぞの惚れる女じゃ無かった」と諦めた...
山中貞雄 「恋と十手と巾着切」
...ずいぶん惚れるが...
吉川英治 「新書太閤記」
...――男が惚れる男だ...
吉川英治 「べんがら炬燵」
...惚れるという対象に持つには...
吉川英治 「宮本武蔵」
...まるっきり惚れる値打ちのない女たちにゃ...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
...惚れるなんていう法はないわ...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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